「あれ、どうかしましたか?」
その日うちのクラスの沢田 綱吉君 通称ツナ君が赤ん坊を連れていました。
此の頃ツナ君の周りは変動と騒動に巻き込まれている。
いいえ、なんとなしだけどその中心にいるのがツナ君ではないだろうかと思う。
この赤ん坊前の教師に似ている気もするけど・・・巻き込まれたくない。
そうでなくともこのところ生傷が絶えないというのに。
よし、見なかったことにしよう。
私は自分の言った言葉をそのままに回れ右をした。
「ちゃおっす」
回ったはずなのに赤ん坊は目の前にいて、ツナ君は妙に慌てて
「リボーン!京洛さんは一般人だから」
色々と意味深な言葉を発していたがここは敢えて耳から通り抜けさせといた。
「うるさい」
「ヒデブ」
リボーンと呼ばれた赤ん坊はなかなかいいパンチでツナ君を沈めそしてツナ君はなかなか日常会話では出ない言葉を発している。
「お前は、京洛 だな」
「え〜とそこまで有名人な覚えはない」
なんだろうふざけたら殺すぞオーラを感じた。
「・・・私が京洛 ですが、一体?」
「お前ボンゴレファミリーに入れ」
「な、何言ってんだよさっきも言ったけど京洛さんは普通、平凡の人だから」
なんで表現変えた?意外と毒吐くな。
「ぼ、ボンゴレ・・・あさり家族?お笑いの育成所ですかそれは」
言うか言わないかのところで赤ん坊は黒い物体
私の目が悪くなければ銃に見えるソレを私の額に突きつけた。
ゴリと無機質特有の冷たさと確かな重量感。
過去の記憶のなかであったようななかったような感触には冷や汗を流した。
「ふざけるな。分かってるはずだ」
「分かってるも何も」
両手を上げて降伏のポーズをしたが赤ん坊には通用しなかった。
ゴリゴリと額に押し付けられる力が強くなる。
どうすればいいかは考えたが一向に答えが出ない。
それどころか考えなくてもいい変なことしか考えつかない。
「いい加減にしろ!」
ツナ君が赤ん坊に食いかかった。彼がこういう風に強く出るのは珍しいな。
そうのんびり二人のやり取りを見ながら沢田 綱吉という人物を再認識していると、
漫才であるように進められながらも真剣な話し合いは済んだようだ。
「つまり京洛さんは」
「そうだ。京洛家は有名な武道家でマフィアに属するものも多い一門だぞ」
ツナ君がこっちを凝視している。
私が武道家と結びつかないからだろうというか。
「へーそうなんですか」
「って知らないの?」
「ちょっと一族から出てまして疎いんですよ」
だから黒い服でごっつい人がたくさんいるとか火薬の匂いがするとか
小さい頃の疑問が解消された。
なんかすっきりした。
これで終わり
「ということでボンゴレに入れ」
とはならなかった。
「え〜と、そういうことでしたらちょっと考えて直したほうが」
「なぜだ」
「・・・銃おろしてくれません」
さっきよりもかなり強い力で頬が圧迫されている。
銃が喋るたびに食い込んできて喋りにくい。
「リボーン!!」
ツナ君の強い一言で赤ん坊は銃をしまった。
「私落ちこぼれでして、だから一族から出たんですよ」
「・・・・・・そんなの鍛え方次第でどうにでもなる」
「なったら出てないですよってもうこんな時間すいませんちょっと失礼しますよ」
「あ」
ツナ君が何かいいたそうに手を伸ばしていた。私はそれを見なかったことにして走った。
「京洛さんもああいってたし諦めよう」
「ツナお前にしてはえらく反対するな」
「だって彼女は本当に一般人で」
「それだけか?」
誰もいない廊下。夕日が扉に写ってオレンジに光っている。
物悲しい、そんな光景にはようやく走っていた足を止めた。
目に映っている光景が虫に食い散らかされかのようにモノトーンへと徐々に変化していく。
「なんで」
いまさらそんなの知らないですよ。やっと京洛を忘れられたのに。
イヤだ。怖いこわいこわいこわいこわい。
助けてよ 。
「邪魔」
「フエバァ」
頭に鈍痛がはしった。
今日初めての打撃。
そういえば頭が痛くないと思ったら珍しく間違いもなかったし怒らせることもしなかったんだ。
なんていい日と思ったのになんて厄日に変わった。
全部・・・赤ん坊プラスツナ君のせいだ。
「なんて顔してるのキミは」
「え?」
「ブサイク」
そういって雲雀先輩はどこかへ歩いて消えていきました。
本当に厄日だ。
けど貴方の行動で救われたなんて
世界が色を取り戻したなんて 言っても馬鹿にされるだけですね。
2008・4・20