昔ブラウン管の中から
鉛筆上のものが天をむき地上に火を吹いた
それが空を飛び越えることなんて
不可能だとじっとその場を動かず見入っていた
飛んだといっても
空を見渡すことさえできない私が空を超えた宇宙を知ることができるはずもなく
情報を耳にいれても目でみても
それはうそ臭い三流のドラマのようであった
と
つい現実逃避をした。
私の現実はチョコバナナが見事に円を描き墜落したとこからはじまる
これだけ聞けば、
はっ?(頭ゆるいなこの子)と思うだろう
では、それが原爆スイッチの上とか
はたまた文句言わなくていつも優しくて花のような女の子の笑顔のうえとかだったら?
そう問題は落下地点
どうせなら、あの映像のように上へ飛んでいってほしかった
食べれないならもういっそのこと
鉄も飛べるだからチョコバナナが飛んでもいいだろう!!
ダメだ
目を覚ませ
かっぴらいてみても、チョコバナナは、見慣れた黒い服の上
しかも、謝罪よりも
チョコバナナってどんだけだ自分
ああ、でも段々と片手にあるチョコバナナを食べたいという誘惑に
いやダメだ
謝るんだ自分
「す、すみません」
は、顔を上げずに目は片手にあるチョコバナナを見ていた
徐々にチョコが溶けていく
その様を凄い顔で見ている
例えるなら子牛が売られていくドナドナ状態だ
「・・・好きなのそれ」
「え、」
結構な沈黙が続いて次からくる精神攻撃から耐えようとして
チョコバナナを諦めようとしたはいきなり言われた言葉に顔をあげた
「さっさとたべなよ」
信じられないが、はお礼の言葉よりも先にがっついた。
空腹もあるが、やはり久々にたべたかったのだろう
一口カプリと加えるとほのかな甘味とチョコの強い甘味が融合して独特な味が広がる
「おいしい」
自然とでる言葉
自然と緩むほほ
はもくもくと食べ終わると、自分の立場を思い出した
目を上げれば
なにそれ
は自分の目に映った情報を嘘だと思いたかった
けどそれは真実で
「あれーちゃん?きてたの?」
黒地に大輪の牡丹が描かれた着物に
赤い帯
髪はいつもと違って頭の上でくくっている
可愛らしいかった彼女が少し大人びた美しさもかんじる
玲奈は、雲雀の腕に絡みつくと
にっこりとを見ていった
「ちゃん今日は着物なんだね」
案に制服は?と咎められている
「クリーニングですよ。ああ、見回りでしたね私は、草さんと回りますから」
あなたの邪魔はしない
そう込められた瞳を玲奈は満足そうにみて草壁さんなら、あそこだよ
と指差した。
うわぁ、草さんわかりやす。
リーゼント集団から一歩前へいる
その場所へはカランと下駄をならしながら歩いた
カランカランと自分の足元がなる
それと同時に自分の何かが凄い勢いで鳴っている
ダメだよ
それはダメだ
なんで?
自分の顔に手をやる。
変化はない。
草壁の元へ行って彼は何もいわず
だから自分の顔がいつも通りだと理解する
「その恰好」
「あーこれ私服で私着物か制服しかもってなくて」
変ですか?と不安げな顔をすれば草壁は否定した
「いや、どちらかというと似合ってるなそっちのほうが」
はまさか草壁にいわれると思っていなかったようで
クスクスと笑う
そのたび
白い生地の上に咲いた季節外れの紫陽花が揺れる
いつも一本たらしている長い三つ編みが揺れる
草壁は少々その姿に見惚れたが、
周りを確認すれば他の周りの連中ですら頬を赤くしている
まずいと草壁はなにか野性のじみた直感を感じ
すぐさま
「み、見回りにいくぞ」
「はい」
そういって後ろからなる下駄の音
草壁は前をただ見ていた
だから、後ろで悲しそうに微笑むの姿をみることはなかった
雲雀先輩
なんであの時あんな笑顔で笑ったんですか?
・・・反則ですよ
私は、誰も愛さないはずだったのに
気づきたくなかったな
2008・8・18