予感がするの。
でも、なにがなのかなんでなのか分かってなかった
分かっていたら、私はどうしてたかな?
それでも
私はあなたに同じ言葉を送ったでしょう
チカチカと光る携帯電話、
はそれを慣れた手つきで開けた
メールが一通
が携帯を持っていることを知る人は片手で足りる人数くらいで
誰が送ってきたかなんて
雲雀恭弥 とかかれた人物名に
はわずかに顔をしかめた
決定のボタンを押せば
短くそれでいて的確な命令文
メールは人柄が出る
というがまさにその通りだと
思いながらも、は制服を探す
しかし、いつまで立っても見当たらない
そういえば、夏休みでしかもめったにない風紀委員もお休みでその間と思ってクリーニング
に出したのを忘れていた
は、しょうがないとため息を吐くと
自分の持ってる数少ない私服のうち一番機敏性に優れた服を手にした
「行ってきます」
そういってカランと下駄をはけば
もうそろそろ出勤予定の鏡ちゃんが出てきて
「あら、お祭りに行くの?めずらしいわね」
「まぁ遊び目的じゃないけど」
「あーん。私今日サボってちゃんとめぐりたいわぁ」
「鏡ちゃんとあるくと目立つからいや」
「ひど、それにしても私服で行くなんてあらあら恋でもみつけたかしらぁ」
「クリーニングに」
「あら、でも可愛いわよ。制服よりそっちの方が」
「まぁ、こっちのほうが馴染み深いし、制服ってひらひらしてなんか違和感があるしね」
「そう、そっちのほうがあなたらしいわ」
「うん。じゃ時間だから行ってきます」
「いってらっしゃい」
ふわりと生暖かい風がそばを通る
セミが命短しと嘆いているのか喜んでいるのか
分からないけど大音声で鳴いている
は薄暗い中細道を渡っていく
ちらほらと遠くから光と太鼓の音がする
夏独特の颯爽とした匂いとともに香ってくる祭り独自の匂い
独特の雰囲気
最後に行った祭りはいつだったか思い出そうとするけど、記憶が無い
昔すぎて忘れてしまった
なんて、しんみりしてみたけど
頭に浮かんだ先ほど言葉をかわした人物によって断片的に思い出す
暖かくてまぶしくて
今の自分では狂おしいほど愛しいもの
けど
あの時は、何が楽しいかわからなかった
人は多いし、ぶつかるし、イライラしながらも
父や母に鏡ちゃんにそして・・・みんなに一緒だった
そのことだけが嬉しくて
祭り自体には興味なかった
けどチョコばななはおいしい
・・・委員会もとい巡回まで多少時間はある
仕事してたらチョコばななが食べれないかもしれない
は、ゆっくりと動いていた足を光の元へ向けて急いだ
頭の中には、チョコバナナ その言葉のみで彼女は動いていた
それが後の敗因だとしらず、かの委員長がみればめったにない速度では動いた
「すいません。一本・・・いや二本けど、ここでしか食べれないし、三本ください」
「はいよ。って?」
急に名前を呼ばれ驚き顔をあげるとそこには、見知った3人がいた
屋台をやるのは中学生でもできたのか
などとやや変なことを考えながらも
くるくるとの頭は回っていた
「も来てたんか。その着物似合ってる」
にかっと笑う山本の賛辞にはにこやかに返した
それよりも
「おまえ、三本も食うのかよ」
呆れ面の獄寺に
「京楽さん・・・好きなんだねこれ」
あははと乾いた笑いを出すツナ
「特別にたっぷり塗っといたから」
そういって笑う山本
ああ、なんの羞恥プレイ?!
だって、チョコバナナ久しぶりで、
うぅ、ダメだ何も言えない
は、顔を真っ赤にしながらもチョコバナナを受け取った
その姿に誰かが驚き
誰かが微笑ましそうに眺め
誰かが笑い
そして誰かが
「なに、してるの?」
睨みつけた
は、とっさに隠そうとした
自分をここまでおいつめたものをしかし急ぎすぎたのかそれとも驚いたのか
「あ」
バナナは二本墜落した
しかも一本は言った本人にぶつかったらしく
神風特攻ただし、敵は海の中みたいな
は昼ごはんを食べてなかったこともあり空腹だった
本来ならばすぐさま謝っただろうが
の口から出たのは
「ち、チョコバナナ」
2008・8・10