本当に私が泣ける場所はここだけだよ
本当に私が笑えう場所はここだけだよ

あなたがそうじゃなくても私は

真っ白い空間で
私たちは手を繋ぐ体温を感じるはずないのに温かった

『もう少しで

彼の口が動く
何かを紡ぐけれど、その言葉を聞き取ることができなかった
私が眠りから覚めてしまったから


「・・・何?」


「チャオっす」

正月から少し朝が覚めると上にリボーン君が乗っていた
ご丁寧に正坐までして
は叫んだ


「鏡ちゃーん」

しかし、返ってくるはずの返事がない
とても頼りになるオカマこと鏡ちゃん
は、そこにおらず一枚の紙だけが置かれている

『新年会があるから〜ごはんはこれでお友達と食べてねV』

最後のハートマークに多少の苛立ちを感じつつも
この状態をフル回転で考える
と、いうか鍵開けっぱ?まじで?鏡ちゃんちょっと急ぎすぎだよ
と古い木造アパートの扉をみれば・・・

「リボーン君 修繕しといてくださいね」

昼まで寝ていた私が悪いのですか神様
だったら大体の人みんなあんたに呪われるよ
そう、自分の運命を恨みながら
脇目で見えるのはリボーンがコーヒーをのんでくつろいでいる姿
ドアノブを銃でぶっ壊した事に何の感想も感情も感じさせない笑顔で

「じゃぁ行くか」

「え、ちょっと理解がついていかないんですが」

「ちょうどいい格好してるし」

「いえ、これ寝間着なんで幾ら何でも凍死しますから」

「1分」

「ちょ、ちょっとまって」

こうして正月新年から私はこの赤ん坊のいいなりになり外に出た
手には重箱
これは甘党な鏡ちゃんのために作っておいたものだった
作りすぎよ〜私に太れって言うのといいながらもうまそうに食うものだから
また作っておいた

そして重箱をこの赤ん坊がみて
よしそれも持っていけだなんていうから
よく解らず持ってきた

そしてよくわからず私は河原にいる
そこには黒い集団と見知った集団
仮にXとYが
だめだ数学的に現実を逃避しても後ろから現実的な質感
きっとリボーン君の銃
そしてダメ出しに

〜なんだ来てたのかよ」
と息をはずませて近寄ってくる私の友人

もう諦めよう
は覚悟した


「明けましておめでとうございます」

「うん。おけましておめでとう。それにしても」

「?ああ、厚着ではないです 着ぶくれでもなくちょっと太りました」

おこたでミカンとおせちとアイスのコンボは無敵だった
特にアイス
外が寒い中温かいおこたのなかで冷たいものを食べる至福
そんなことを考えるとなんかアイスが食べたくなった

「ん?あ、そういうわけじゃなくてさ。よく似合ってるその恰好」

山本は少し照れながら笑った
大きな身長から時々中学生だということを忘れさせるが
その笑顔から彼はまだ中学生だったと理解させる

ああ
そういえば私もまだ中学生でした

なに基本的なことをと思う方もいるかもしれないけど
時々それを忘れている
日常があまりにも日常過ぎてその情報をさっぱり忘れてしまう
名前とか年とか
決して痴呆ではないと思う
そうきっと!!

それよりも

「ありがとうございます」

褒められたんだ。この恰好を
素直に答えるお世辞でも褒められれば何でもうれしいもんだ

「今さゲームして丁度終わったとこでさ」

新年会みたいのが下で開かれているけどもしかしてそこに私も行けということなのか
黒いのやらがいっぱいいて堅気じゃないし
丁重にお断りしようとしたが
彼はいつの間にか私の手を握っていた

「おーい。がきたぞ!!」

え、ちょっと待ってください
私のことを知っている人なんて
この中で獄寺君とツナ君と京子ちゃんとリボーン君くらいなんですけど
というか関係性がない!!
しかし坂をかけ下がっている彼を止めることができない

「あ、あれ京洛さん?」

「ツナ、が来た」

「あけましておめでとうございます。ツナ君」

「え、なんで」

「・・・」

「えーと、ごめん」
の遠い眼と沈黙で何かを感じ取ったツナは謝った
はため息をつくと

「いいんですよ。丁度暇でしたし」

その台詞にすまなそうに笑いツナは

「あけましておめでとう」

そう言った
それはここにいてもいいという居場所を認められた気がして
それを皮切りに知っている人が挨拶してくる
知らない女の子や女の人を紹介される

「はひーかわいい子です」

「へーあなたが京洛ね。リボーンのことをどう思っているの?」

と変なことを言われ問いかけられた

それが終われば目の前に金髪の外来人が立っていて
顔はえらく整っている
ある種の女の子なら白馬の乗った王子様!!とでも言わんばかりの
しかしその情報はその意味はにとってどうでもよいことだった
それよりもやたらじろじろと見られている
いったい何なんだと思っていれば

「へー綺麗だな。大和美人ってやつか?」

外人が着物を見た時の感想って大体こんなかんじだよね
とその言葉にニュースを見ている気分になった

は失念していた
他にも女子がいてその人たちも着物を着ていることを

「はぁ、どうもありがとうございます」
笑って答える

「ところでそれなに」
二人の間に割り込むような姿に多少なりとも違和感を感じたが
彼は日常的によくしてくることだった
数日間学校に来ないだけでそのことを忘れるとは

そんなことを身塵も感じさせず
爽やかに笑う友人に

「おはぎです」

そう答えた
ツナとディーノは少し顔を青くした。
が、山本は嬉々としてその箱を開けると

「うまそー食っていいんだろう」

のお弁当を時々食べている山本は
が料理が苦手でないことを知っていての返答をまたずにかぶりついた

「うめぇー相変わらず料理うめぇな」

嬉しそうにほうばる姿
そういえば私の料理を喜んでくれる人って鏡ちゃんと武君だけだった
と思う
いつの間にか重箱はみんなへまわされている
みんな笑顔でおいしいと言って笑う
はそんな姿に少しだけ自然な笑みを浮かべていた