あの日気づいた
少なくとも彼・雲雀 恭弥にどうでもいい存在ではなかったこと
そしてそれが悪意でなく逆のものであること
彼とは
京楽 でなかった世界で出会いたかった

悲しいと呟けば
いいやと答える
大丈夫と問えば
そんなのとっくにその言葉を思い出す前からイカれちゃったよと笑う

あの日から雲雀先輩は私を一切叩かなくなった
一切
なにがあろうと口で攻撃する
でもかまわないそんなこと些細なことだから
私に取ってそれは取るにたらないモノ
玲奈が嬉しそうに毎日心境をつげてくる
それが善意でなくても私は笑う
その姿を少しだけ遠くで
そしてすぐ近くで悲しんでいる人たちがいることを
知りながらも私は笑うのだ
それが罪だとしてもそれを選んだのは他ならない自分だから


時間は心と関係なく動いていく
それがとても心地よい関係だと分かっているから
止めるようなことはしない


雪が振ってでも学校に来るこの異常さ
さすが★雲雀先輩収める風紀委員!
学校大好き並盛LOVE
そんなこといったら・・・想像だけでやめる

は息を吐いた
吐く息が白くなる
なんだ自分はまだ生きているのかとポツリとつぶやく

後ろから雪玉が投げられた
みれば

「・・・リボーン君ですか」


「なにしてんだこんなとこで」


「さぁ?何してんでしょう。皆目見当がつかないですよ」

は応接室を抜け出していつの間にか屋上にきていた
下から地響きがする
それを完全無視の方向で空から降る白い花弁だけを目でおっていた
は愛おしそうに懐かしむように

「これはとても綺麗だと口にしました。だから私はこれが好きです」

「それがおまえか」

は少しだけ動いた
リボーンからは顔が見えない位置にいながらもは見られていることを感じた
顔をかくしてもこの人物の前では関係ないそう、諦めるだろう
自分の感情を読まれると、取り繕うかもしれない
けどは顔を隠したのではなく寧ろ真っ正面からリボーンを見据えた
そのままの表情で
その姿は弱者ではなく
同等または強者の姿だった

リボーンは自分の体から震えを感じたが、それを忘れるほど目の前にいる人物に囚われていた
茶色の瞳は自分の教え子と同じ瞳なのに深さが違った
深すぎるのにどこか広いそして遠い

「ふ、私は雪ではないですよ」

その声にようやくリボーンは呪縛がとけた
浅く笑う姿は、先ほどの人物の欠片もなくそれはずっと前から知っている
京楽 の姿だった

「そうか」

リボーンにはその言葉を言った正確にはその言葉しか言えなかった
寒さに震えることもなく前を見ていた彼女が異常なほどに震えはじめた
何だと見れば

「君、ほんと良い度胸してるよね」

ギギィと開くその扉の音は地獄への扉が開いた
そう、は感じた

「こ、これはですね。その」

そういってしろどもどろになるに雲雀は近づいていく
暴力がすくなくなったが精神攻撃のほうも強力な技を持っている
は身構えた
だが言葉でもなくにかけられたものは黒い風紀の入った学ラン

「え」

「馬鹿でも風邪ひかれるとめんどくさいんだよ」

そういって目の前で背中を見せつけられる
は言葉をなくした
いいや、どういっていいか分からなかった
昔された懐かしさそれを思い出しながらようやく言葉にする

「ありがとう」

その姿をいつの間にかいなくなったヒットマンが見てつぶやく


「はやく気づけばいいのにな」


誰の事をいうことでもなく言った言葉にリボーンは深く帽子をかぶった


「が、どちらにせよ大変だな」






2008・7・30