なんでそんなことをいうんですか?
その言葉を飲み込んで
笑顔で言う

「そうですね」

お願いですもうこれ以上はあなたに関わりたくないんです

誰かに付き合うことなんて出来るわけないのに
誰かを恋するなんて理解できないのに
誰かと愛し合うなんてゆるされないのに

は笑った

「なんで」

雲雀は殺気を収めないで目を見開いて
そのまま力任せにを殴った
トンファーじゃなくて拳で殴り続けた
は自分の体を守ることもせずそれを受けた
一つも声あげずに笑みを崩さずにいるの姿は異常で

雲雀が殴るのを終わった頃には
は目を閉じそれでも口だけは笑っていた

雲雀はを恐る恐る抱きしめる
心臓の音がする
生きていたことに安堵したそのことよりも雲雀は
自分の行動に初めて後悔をした


目を覚ませば保健室
なんでここにいるかとか体に巻きつけられている包帯を誰がしたんだとか
そんなことを考えながら起き上がる
少しの痛みを感じるものの我慢できないものではない
起き上がれば、そこに

雲雀先輩がいた


なんで
どうして


は雲雀の姿に目を見開いたが
うつむいたまま動かない雲雀には言った

「私は大丈夫です」

雲雀は少し顔をあげた

「体が異常に頑丈だって知っているでしょう?だから大丈夫です」

そこにはやっぱり笑っているの姿があった


「君馬鹿でしょ」

「ええ、馬鹿です」


から雲雀の顔は見えなかったけれど雲雀が泣いているように見えた
それはありえないと分かりながらも
はその姿を
羨望のまなざしでみた
はもう泣けなかったから




2008・7・21