目を閉じればそこは
真っ白なお花畑

そのなかで彼は優しく笑う

そして優しく私の名前を呼ぶ
それがとてもうれしくてそれがとてもかなしくて
だってこの世界は現実じゃない
でも夢でもあなたといられる

たった唯一の場所
私が独りであるがゆえに
私が独りぼっちじゃなくなる世界


大好きだよ
そういって彼の名前を呼べば僕もです と答えてくれる

彼がいれば世界なんていらない

もう一度彼の名前を呼ぼうとしたけどそれはできなかった


がん


目覚めるとは机にキスをしていた
なぜ自分がこの様になっているか
上から感じる異常なまでの圧力

ちらりと見上げればぶすーと顔をゆがませた雲雀先輩がいた
その横でクスクスと甘い笑い声
働かない頭でどうにか覚醒しようと目を擦る

ここが応接室で
私の前には書類が
・・・そして頭の痛みを考えると少し仮眠をとっていたようだ
上からいっこうに消えない圧力

「・・・えへv」

ジャキとトンファーを構えなおす音がした

「すみませんでした」

は急いで謝った
その姿に雲雀は少し間をみると自分の席へ帰って行った
いったいなんだというのだ
はそう思いながらも
さっさと書類をすまし雲雀とイチャコラしている玲奈の姿に目をやった
いつも思う
どうしてこの場所にいるんだろうと

雲雀に呼び止められて応接室に戻った
武君はいつも心配してくれて前よりもうざく・・・かいがわしく世話をやいてくれる
ご飯も休みも時々帰りも一緒

・・・おかげでどこぞのグループ集団に糾弾されたときは
はぁ?と言う感じで
しかも少しいやかなりの距離をおけて怒られたなんて初めてだ
最初はなんていっているのか全く聞き取れなくて
近づけば逃げるし一体何をしたいんだと思った中
震えながらも
あんた武のなんなのさ!といわれたときにようやく納得がいった
ことの詳細を言えばすぐさまどっかいった

何故彼女らがこんなに怖がるのか自分の腕についている紋章のことすら忘れて
考えたものだ


それにしてもだ
恋とは不思議だ
恐怖心よりも勝るとは・・・武君にはあの子がいいんじゃないんだろうか
それは当人の問題だから口出しはしないが

目の前にいる二人にも
恋というものがある

私にはいまだ理解ができないもの
羨ましいとかそんなことも思わない

ただ少しだけその正体が知りたいと思った


には分からなかった
今目の前の二人から何かを感じている自分を
痛みにえらく鈍い彼女がそれに気づかなかった





2008.7.20