行かなくなった応接室
あの静かで孤独でどこか暖かな世界
私の唯一の場所に似ていたあの場所に
もう行けないものだと思っていた





久しぶりといっても3日ぶりの雲雀先輩は
いつもの通りの学ランを羽織っていた
風紀委員の仕事の服装チェック
ピリピリとした緊張感がそこにはあった
は校門の外からその様子をぼんやりと見ていた
自分がもう関係ないもの
いや、少々の関係性しかない
妹の彼氏で私が好きだといった人物
少しの居心地の悪さを感じる
今からこう思うならそこを通るときはもっといやな気持ちになるのだろうか
冷静に分析してみる
そこまでかんがえられるなら私は大丈夫なんだろう
歩みは変わらない
それに私はちょっとも悲しくない

誰かがの肩に手をかけた
振り向くとそこには爽やかな笑顔を向けた山本がいた


「はよ、


「おはようございます。山本くん」

にこにこと笑っているがは山本から笑顔の脅迫を受けていた
は息をはいた

「・・・武君」

重くのしかかっていたものが軽くなる
あの日から山本・・・武君は名前を呼ばないと脅迫するようになった
彼は腹黒なのか天然なのか分かりかねる
しかも何か用が有るわけでもないのに私に構うようになった

それはきっと

私の思い違いかも知れが
彼は彼なりに私を励ましてくれているのだろう

じゃないとこんなタイミングよく現れるなんてない
だって彼が少し汗ばんでいた

これが彼の言う友達というものなのだろうか

そんなことを考えながら
あれほどいやだなと思っていた校門にきていた
いつきたんだろう
私は少しだけ硬くなった
そのとき山本は急にに話かけた



「はい?」

「今日さ俺弁当忘れたんだよ」

「はぁ」

の弁当凄くうまそうだよな」

「・・・全部はあげませんよ」


やりぃーと笑う山本を見ては少しだけ笑った
は山本が弁当を持ってきているところを見たことはない
彼の優しさに

すこしだけ
すこしだけ

何かが温まった

今でも誰か心の中で叫んでいる
でも

すこしだけ

通り過ぎる黒い人
いつのまに通りすぎていたのかは気づかなかった
彼に呼び止められるまで


「京洛 

名前を呼ばれた。少しだけ過ごした彼との間に自分の名前を呼ばれたことなどあったかなんて
考えるよりも本当に呼ばれたかは振り返った

「君ってよくさぼるよね」

雲雀先輩はこちらを睨んでいた
何かをとても怒っているようだった
なんで?
だってもう私は必要ないんですよ。どうしてあなたはそんなにワガママなんですか

「君は風紀委員でしょ?」

私よりも玲奈がいるだろうとか。もうやめますとかそんな言葉
彼の表情のせいで何もいえなかった








2008・7・20