「京洛さん、付き合ってください」

夕日に照らされて、赤くなっている彼ら。
いや、違う。
一人は耳まで赤く染めて真っ直ぐと京洛をという名の人を見ていた。
それは、紛れもなく一人の男として彼女を欲していた。

僕は、怜奈だと思った。
京洛 怜奈は、可愛く長いツインテールを揺らして、
誰にも、平等で人見知りもしない。そして、向日葵みたいに笑う。
だから彼女は、人気があった。

けど、僕の彼女だということはすぐに校内中を、まわったから
彼女にちょっかい出す虫はいなくなった・・・と思ったんだけどね。

僕は、トンファーを出して害虫を咬み殺そうとした。
彼女が、断るのが分かっていても、むかつく。


けど、
今、僕は、トンファーをおろして壁に隠れている。
なんでこんなことをしてるの、僕は。


ただちょっと人を間違えただけじゃないか。
京洛がもう一人いたのを、思い出しただけ。
そして、僕には彼を叩く意味がないから。


それなら、僕はどうしてここから動けないだろう?


相変わらずの間抜けた顔をしたは、
一つに結ばれた三つ編みを前にやって
服装も、今日朝見たときと何も変わっていなかった。
純粋に、趣味が悪いと男に言ってやりたい。

男の姿を見れば、女が好きそうな爽やかなルックスをして
背も高く均等が取れた体に、彫りの深い顔。
君なら、違うやつのほうがいいよ。

耳まで真っ赤にして、真っ直ぐとしか見ていない。
赤く赤く染まっていく彼と彼女。
夕日だと分かっていても、心が何かを叫んでいる。

なんでここにいるの?
なに告白されてるの?
ねぇ、何て答えるの?
君が好きなのは・・・・・・。


「すいません」

は、男に頭を下げて
断った。
僕はふっと息を吐いた。
どうやら、息をするのを忘れていたようだ。

「・・・まだ雲雀さんのことが好きですか?」

自分の名前に反応した。
は、黙ったままだ。
男は、話を続ける。

「雲雀さんは、怜奈さんをとったじゃないですか、
俺、
あなたが忘れるまで待ってます。
好きじゃなくてもいいんです。・・・傍に、傍にいるだけでもダメですか」

腕を組んで、ひじを思い切り掴む。
男の言葉が、校舎裏に響いた。


「あなたは、私の傍にいれません」

夕日の逆行で、僕からは彼女の顔は見えなかった。
男が、壁をなぐる音がした。
乾いた笑いと共に、男が呟く。

「・・・あなたは酷い人だ。そんなことそんな顔で言われたら
・・・諦めきれないじゃないですか」





もう、こんな現場をみるのはこりごりだ。
僕がデバガメみたいなことをするのも、
男の台詞にカッと熱くなるものを押さえて、違うやつに八つ当たりするのも。
なによりも、あそこから逃げてしまった自分がむしょうにイラつく。



それから、迅速にに告白するヤツを潰していった。
あれは、僕の所有物だから。

勝手に、もっていこうとするのは許可が必要でしょ?





2008.12.6