分からない理解できない
どうして彼女は音楽科にはいれた?
どうして彼女はコンクールにでれた?
どうして・・・彼女は歌わない?


人は自分自身さえも完璧に理解できない
ましてや他の人は?
出来るわけない

けど

把握は出来る
どうすれば喜ぶのか
どうすれば悲しむのか


彼女は僕の世界の中での異物
誰にも当てはまらない


流石誰もが知っている有名的な変人もとに馬鹿ではある


それは真実だろうか?
僕が仮面を被っているなら、彼女は?

久しぶりに興味を抱いた
 

僕としては久しぶりにミスをした
些細なミスだ
まさか日野に忠告をしているところをこいつみられるなんて
けどこいつが誰かにいうはず無い
というか

「さっきから何をジロジロみているですかぁ?ロンゲ君」

こいつは俺の事を覚えていなかった
ミスよりもなによりもムカついた

「俺は、コンクールでおまえにあったはずだが?」

「コンクール?あぁ。そういえばいたっけぇ」

「待て」

「やだ」

とっさに俺はの腕を捕まえた
俺を覚えてないなら、それでいいはずだ
それにこいつの言葉を信じるものなどいないしなにより言うやつがいない
そしてこいつはこれを誰にもいわない
完全な無興味
それがこいつの瞳に映っていた俺の姿
何かがこわれる気がした
震える唇で、やっといった言葉は

「お前は、俺を知らないのか じゃあ教えてやる」

俺の顔は笑っていただろうか
なぜ俺がこんな女ごときにこんな思いをするのか

は、ただじっと俺の話を聞いていた
その回答が

「天気予報よりも面白くない」

陳腐だと自分が笑われた気がして無性に腹立たしかった
何かしゃべろうとすれば、口に甘い味が広がる
いつのまにかは俺にペロペロキャンディーを口に突っ込んでいた

「君はそんなことを私に話してどぅするんだい?
まさか私に君の身の上を聞いてそうなった理由でも
聞いて同情でもしてもらいたいのかい?それとも妥協策でも一緒に考えるのかい?」

その通りだ。
俺はなぜこの女にこんなことをしゃべっているのだろうか
なぜか急に頭を撫でられて、というかぐしゃぐしゃにされている

「君はもうちょっとへたに生きた方がいい
回答を焦ってもしょうがない。
時間制限付きでもでないものはでない
ゆっくり考えた方がいい
その答えがたとえ間違えでも時が立てば正解になる」

にやっと笑った顔は、とても という人物らしく
答えはとても想像とはかけ離れたものだった

ぐしゃぐしゃにされた手を離せといえないのも
口に入った異物を吐き出せないのも
驚いたからとしかい言えない

だから頬に感じる暖かいものは侮辱されて悔しかったのと驚いたからだ


そうやって何時間たったのか
時計を見れば何分もたってなくて

俺は声を出した

「お前は同類かと」

は俺から手を離すと

「そうだねぇ簡潔に言えば私は偽るだけ自分がないってことかなぁ」

その答えはとてもらしくその顔はとてもらしからないものだった
そしてこの二つが なのだと悟った

それからにやっと笑顔をすると

「じゃあまた会いましょ。柚木さん」

バタンと扉がしまった音がした
僕は無言でぐしゃぐしゃにされた髪をなおす
見事にぐしゃぐしゃにされたものだ

口にはまだ甘いものが存在している
次またあったときには、なでかたの練習を教え込んでやる

少しだけ、名前を呼ばれて自分を認められた気がして嬉しかったなんて
そんなわけない

ただ他の奴等よりも興味深い人間だと言うことは確かだ

鏡を見れば、笑顔の自分があった



2008・9・13