「でも、一瞬なんだよロンゲ君」

そういって窓枠に腰掛けたの顔は黒く染まっていてどんな顔をしているか分からない。
から同じ匂いがしたと思ったことがあった、しかし今なら言えるは俺と違うと
色は良く似た黒だけど、よく見れば徐々に吸い込まれるような漆黒。
つぅーと汗をかく、暑さではなく冷や汗で身の毛がよだつとはこのことで目を逸らしてしまえばいいのに
逸らすことはできない。好奇心と優越感。
がここまで自分と言うものをさらけ出すのもめったにないことで、
少なくとも一番近くにいる月森は味わうことがない感覚だからだ。

「蝉の人生よりも短い長さに人を覚えるということはとても難しい。
プリンは簡単でも、プリンが美味しいは難しい。だから、名前を覚える意味はない」

変な言葉を言っているけれど、の言いたいことは分かった。
名前を覚えること自体は簡単だけど、人を覚えるのが難しいと。
しかも、短い付き合いなのだからなおのこと、やめたということか。
だけど、納得できないことがある。

「月森は呼ぶだろう」

言葉にして自分の幼稚な思いに気付いていったことを後悔した。
けどは首をかしげて俺の思いに気付かない。

「言わないと色々と不便だから?」

「俺がお前と同じクラスで横の席で何かあるたびに構えば、お前は俺の名前を呼ぶのか」

「それはない。だって、ロンゲ君は私にそうしない」

「だったら、どうすればいいんだ?」

自分でも何で必死になっているのか分からない、
名前を呼ばれなくてもは俺を分かっている、だから月森よりも近くにいたくなった。
利便性を追求した結果で名前を呼んでいたとしても、
俺の名前を呼ばないんなら、せめて月森の名前を言わないで欲しいと
漆黒でも構わない。俺だって二面性がある、
でも、がいれば俺はありのままの自分で生きていけそうな気がするんだ。
が、窓枠から腰を降ろした。そこから4歩歩いて手を伸ばせば届く距離。

「変な人。私に名前を呼べなんて、本当貴方変わっている。
私もそろそろ受け入れるべきだと思うんだよ。貴方少し彼に似ているって、
感傷でもなくなんでもなく似てる。
顔はあっちのがブサイクで才能だって貴方のほうが上、髪だって短いしこんな綺麗じゃない
でも、似てる。急に変わる音もそっくり。未来に対して無意味だと知りながら今を努力する姿も
二面性はなかったと思うけど、そういえば外面が良かった。なんだ一緒じゃん。
でも、違う。似てるけど、やっぱり違う。俺様系でも王子様でもなかった。変な人」

淡々と表情も変えずに言い切った彼女は、そのまま外へ行こうとする。
誰かと比べられたことよりもインパクトのある変な人が頭をグルグル廻っている。
変だなんて初めて言われたそんなことにショックを受けていたら、
扉を開いてこっちをが見た。

「そろそろご飯ですよ。梓馬先輩」

私のお腹の中に、お腹が減ると普段は口を開かない私に似ていない可愛い妖精が、
鳴くに近い声をだして要求し始めました。ようは腹減ったとことを長い言葉でいい、
早くしないと奴は私の腹を食べます、雑食なんで。とグロテスクなことを言い始めた

「お前は卑怯だ。

お返しをしてやった。











2009・8・13