俺・尾浜 勘右衛門は、どうするべきか迷っていた。
迷うなんて、雷蔵のようだけれど、そう笑える話ではない。
ことは、自分のことではなく、ある一人の人物の話だ。
彼は、ある性癖の持ち主で、はっきり言えば、男しか好きになれない人物だった。
は、ゲイであった。
俺と同級生にして5年、短くはない期間、
そう認識していたが、自体は急変してきている。
それは、天から舞い降りた一人の少女。通称天女ちゃん。によるものだ。
三郎と付き合っている頃、熱烈な愛・そして三郎による幼稚な愛による
嫉妬する姿に、ってゲイって本当?と聞かれることも、
が周りに、白い目で見られることがなくなってる。
は、普通になった。
普通というのは、性癖でもあり、そして、性格でもある。
三郎に、近づくだけで、威嚇されるし、
みんな三郎が好きなんだと変な妄想を働かされるからたまったもんじゃない。
三郎と別れて、普通になったは、普通にいい男だ。
顔だけみれば、レベルは高いし、なによりも優しい。
これまた可愛い顔をしている天女ちゃんと一緒にいる姿は、
どこか美しい恋物語を見ているようで、憧れる奴も少なくない。
それほど、二人はお似合いであった。
しかし、俺は、雷蔵やみんなで組んだ三郎と、ヨリを戻そうに加わっている。
こんなに悩んでいるのは、お似合いな二人を離して、
元の嫉妬しいなに戻すのが、おしいわけではない。
俺が、単独で、しょうがない。一肌脱ぐかと、先に動いたのがいけなかった。
「よ、」
「尾浜か、どうかした?」
「いやね。ちょっと小話に」
「・・・回りくどいのは好きじゃない。三郎に何か言われた?」
の言葉に、ドキリとした。
顔にはでてないけど、ちょっとした間が肯定を促す。
「仲いいもんな。姿を出さないようにしているけど、
まだ、気持ち悪いんなら」
「ちょ、ちょっと待て、そういう話じゃ」
「尾浜。俺、分かってるんだ。
女と男が愛しあうことが普通で、俺が異常なことぐらい。
小さなころからそうだから、俺が悪いってこと分かってるし、
無理やりそんな世界に、連れてきて悪かったって」
「だ、だから」
「なぁ、でも、異常ってなんだろうな。
俺はただ素直に人を、愛しただけなのに、そんなんで指さされて生きるなんて」
俺は言葉を失った。
俺は、女の子が好きだから、の言っている意味が分かる。
男を好きだなんてと、ぞっと身ぞけがよだつまではいかないものの、
自分を好かれても困るとは思っている。
だけど、はそんなことちっとも顔に出さないから、
大丈夫だなんて思い込んでいた。
「でも、あいつが言うんだ。
男しか愛せない俺が異常なら、自分も異常になるって、
男好きを好きな女なんて異常じゃない?なんて言ってくれる。
だから、今の俺、ちょっとはマシになったんじゃないかなと思ってるんだ」
暗い顔から、柔らかな顔に変わるの姿に、もう言葉を返す気力もなくて。
「三郎に言ってくれ、俺は、きっと、お前を忘れて、
ちゃんと女を愛せるようになれるって」
と背中を向けられた最後の事付の、最悪な言葉に頭を悩ませる。
それプラスに、俺は、あの星の下での、彼等が交わした誓いを知っている。
「連れていくかぁ」
が、三郎を忘れかけていて、
どこか違う場所でも、一緒ならいいと思うほど、
天女ちゃんを好きになっていること、
好きすぎて素直になれないし、動けない三郎。
全部統計して最悪な結末が頭によぎる。
早くしないと、、ヨリを戻すどころか、いなくなるぞ
と三郎にけしかけることが出来る俺は、
あの満天の星よりもキラキラした綺麗な二人に。
「まさか、まさかの」
ハハハと、苦笑がこぼれた。
俺は、なんとあの二人に憧れをいだいてしまった。
なんて理想な恋人とね。
傍目からそう思わせるほど、
天女ちゃんといることが、にとって幸せなことだろう。
それは、嫉妬し続けて、男好きという負い目を抱いていた前よりも、
今の方がずっと、ずっと。
友情と憧れプラス罪悪感を天秤にかけて、俺の心情は揺れ動く。
あーもう、どうしていいのか、分からない!!
2010・10・10