俺は知ってるんだ。愛してるとか好きとかってな。全部全部ウソなんだぜ。
つまんねーの口癖の俺は、大法螺ふきで快楽者。
こんな世界いらねぇ、って思っている俺が一番の生存率。
不思議だ。
ああー天からなんかでっかいもん降ってきてみんな死ねばいいのに。
そしたら、殺されるのも痛いのも我慢してやるのに。
「」
ああ、ウザイ。俺は一人がいいのに、糞のせいでこんな学園にいれらされた。
「聞いているのか、」
「聞いてるよ。仙蔵。おー今日も綺麗な顔して、ほれ、見てみろ。池に映ったお前は大層綺麗だ」
だから、そのまま池の中に溺れてろ。
「・・・・・・今日は合同訓練だ」
「へー」
「5年生いや、他の奴らを殺そうとするなよ」
「なにいっちゃてるかな。仙蔵君。俺はこの学園が大好きだから、そんなことしないさ」
「ならいい」
俺は誰にも付いていかないから、仙蔵の冷たい手に引かれて歩く。
いいね、その冷たさ。温かいって生きてるって「愛してる」って言われているみたいで
凄く気持ち悪いんだ。
学園長も適任な奴に俺を見張らせたよね。
「お前は、酷い奴だ」
私が、にいった言葉だ。人は綺麗なだけで構成されていないと知っていたけれど、
まさか自身がこんなにも汚い感情に包まれるとは思いもしなかった。
酷い言葉で、どうやって、目の前で飄々としている男をどん底に落として泣かせて
許してくれと懇願するまでに罵声を浴びせようとしていた。しかし、
「ああ、俺は酷い奴さ」
と、全て諦めきっている、全て悟りきっているこいつを見て、ぶるりと芯が冷えた。
私はその感覚をなぎ払い、激情を高め、言葉を口にする前に、は笑っていった。
「知ってるか?仙蔵。愛してるとか好きとかってな。全部全部ウソなんだぜ」
体の全ての感情が停止し、こいつは、笑って目の前を去っていった。
私は一方的にしか物事を見られなくて、恋多き男が傷つかないとでも思っていたのだろうか。
こんな近くにいながら、私はずっと思い違いをしていた。
あいつは、一つ一つにちゃんと答えている男であった。
分からないほどの多くの傷を笑って隠す男だった。
私の気のいい友人であり、私が好きだったくのいちは次の日、泣き腫れた目で、
どこかすっきりした顔をして言いにきた。
「仙蔵、私、に恋してよかった」と、とても優しいウソツキだったと。
そうして、彼の元を去っていくのだ。
真実かウソか本当の彼は分からない。
だけれども、
「仙蔵の髪ってほんと綺麗だよね。なのに、なんで俺の髪かな?」
と、この男が呟くのを聞いて、
私はこの馬鹿がちゃんと人を愛せる日まで手を離してはいけないのだ。
2009・10・26