今日は、上級学年だけで、女装し、相手をたぶらかしその証になにか貰ってくるというテスト。
いつも一緒にいるはずの滝夜叉丸は、七松先輩に捕まっていて、いつの間にか一人。
つまんない。
もう、すでに何人かの男に声をかけられ、テスト終了しているけど、
お腹が減ったから、貰ったお団子をほうばる。あんまり美味しくないや。

ドン。


「おい、前みて歩けよ、っと」

男は、私の顔を見るなり顔をかえ、

「すまねぇな、その団子は弁償するよ。さぁ、おいで」

ぞくりとみぞけもよだつ感じ。この男は危険。
手を掴まれてしまった、男だったら、手を払いのけて、くないでずぶりだけど、今は女装中。
しょうがない、連れ込まれたところを狙うしかないか。
周りをちらりと見ても助けてくれる人は・・・・・・今、目がピッタしあった。

「ねぇ、退いてくれる?」

「なんだ、お前」

「退けって言ってるの分からない?」

男が手を伸ばそうとする前に、男の腕を掴み、悲鳴が上がる。
負け犬の遠吠え見たく喚いた男は、さっさと退散。

おやまあ。

「まったく、可哀想な団子。あんな奴に踏まれたくないよな。本当に」

と悲しそうな顔をさせて、青年は立ち去ろうとした。
彼がようがあったのは、お団子で私ではなかったようだ。
でも、

待って。

「えーっと、何かよう?」

「美味しい、お団子屋知っていますか?」

と、言えば彼は顔をほころばせて言う。

「まかせておいて一番の所教えてあげる」

普通顔のなんてことのない自分よりも幾分上の青年は、
私の手をつかみ、少年のように喜んで団子屋に連れて行ってくれた。
さっきの気持ち悪いゴツゴツした手じゃなくて、少し冷たい長くて綺麗な手。
うん、この人に触られるのは好き。

青年が連れて行ってくれた場所は、初めての場所で、団子を一つ口に入れると、
ほんわかした気持ちが溢れてくる。

「美味しい」

と、つい口に出てしまった。

「だろう。俺が食べた中で、一等美味い秘密の場所だ」

大げさな表現だ。と思われるけど、人通りも少ないそこは隠れるようにあったので、
彼の言うことはあながち間違いではないかもしれない。
それにしても、とても表情豊かな人だと思う。よく笑いよく悲しむ。
自分と正反対だ。
表情なんて興味がなかった。
自分の顔に感情が出ないことは忍びとして得であると思っているし、
それに対して人がどう思おうがどうってことはない。
けれど彼の今の表情はもっと見ていたい。
だから、彼の笑顔も好きなのだと思う。
まだ若く20代前半くらいな店主は、こちらに近寄ってきて、
笑顔で、青年の前に止まる。

、また来たのか?」

青年の名前は、というのかと何度も繰り返す。

「ああ、お前の団子は何時来ても美味いな」

「ははは、謙遜はやめてくれよ。お前の団子に比べれば俺のなんて屁の河童じゃねぇか」

「そんなことない!!!俺はこの団子好きだ」


ドキューン。ストレート。
音にすればこんな効果音が、店主から聞こえた。
ムカ。


「す、好きって、そ、そうか。あ、そういや、これ。湯のみ壊したって言ってたから、ほれやるよ」

「いいのか?」

「いつも食いにきてるお礼だ。そ、それとな、。その次の休みの日俺とどっか」

さん。私お腹一杯です。かえりましょう」

「ん?」

「あ、そうか。今日は恋人と来てんのか?」

「え「そうでーす。喜八子といいまーす。よろしく」」

「そうか、はは、そうだよなぁ」

「はい、行きますよ。さん」


無理やり、外へ出て横をみればきょとんとした顔。
店主の明らか様の落胆。いい気味。
手を繋いで歩く、何も言わないその間。手の温もりも好き。
でも、あの男へ向けての笑顔は嫌。
ふわりと服を上からかけられた。

「寒いのか?さっきから震えてるけど」

寒い?春先だからといって寒くない。しかも女装しているから、いつもよりも着込んでいる。
でも、手が震えていた。あ、困った顔。この顔も好き。変なの普通の顔なのに。
綺麗な顔なら、仙蔵先輩の方がいいのに。なんでだろう。
彼・は、私に笑いかけてくれない。
かけてくれても、女装した私として、女の私として、他の人でもいや、今の自分も嫌。
なら、話は簡単だ。
ばっと、服を脱ぐ。

「私の名前は綾部 喜八郎です」

沈黙。

「あれ、その服って、忍術学園?」

おやまあ、ついこっちのほうの服を着ていた。でも、これで分かるってことは。

「・・・・・・4年い組 綾部 喜八郎です」

「これは、どうも。5年は組  です」

私たちは、そのまま、学園まで手を繋いで帰った。
そして思う。私、 先輩が気に入ったと。私が男であっても変わらず笑みをくれるこの人が。
学園でも会えますね。といえば、どうだろう広いし、今まで会わなかったしと苦笑した。
大丈夫です。もしもの時は穴に落としてしまうから。そして、私が大切に部屋に持ちかえります。




9・テイクアウトはいいですか?




外の空気は美味しい。
今俺らの組は、『なんとかして知らない人からなんか貰ってきて』のテスト中だ。
それにしても、今日学園内にやけに、女の子が多かったのはなぜだろうか?
まぁ、そんなことどうでもいい。
それよりも、あのいいかげんなことしか言わない篠神先生のことだから、
実はこのテスト、学園全体でやっているのかもしれないな。と思い、
ハハハハと笑い、次にそんなわけないと大きくのびをする。
さっきから知ってる顔に合わないし、町も、男多くないし女の割合高いし。
あ、そういえば久しぶりに行きつけの団子屋でもいくかなと思えば、
目の前に、団子が踏まれている現場。
プチリ。

「ねぇ、退いてくれる?」

「なんだ、お前」

「退けって言ってるの分からない?」

団子による団子のための団子への愛を舐めるな。
お前ごときがな、軽々しく踏んでいいもんじゃねぇと掴めば、どっかいった。
いい気味だ、地味に痛く掴んだから、後残るぞ。
俺の団子への恨みはじわりじわりと攻め寄ってくるから覚悟しとけ。
ぐじゃぐじゃに踏まれた団子を悲しみ暮れながら拾えば、誰かに掴まれた。
振り返れば素晴らしい美少女。うわ、俺団子しか目にいってなかったよ。

「美味しい、お団子屋知っていますか?」

もしかして、これの主か。
かわいそうに、かじった後があるから、楽しむ中にか。最低だな。あいつ。
でも、美少女。俺が来たから大丈夫。
一番を教えてやるさ。
というか、俺が彼女ができたら、一番行きたい場所に行く俺も俺だ。
最初から行く場所だったからだ。他意はないと感情を隠すために、
ついあまり表情が変わらない美少女の手を握ってしまった。
どうしよう、まずゆっくり力を抜いて、握りつぶさないようにしないと、
俺の握力って頑張れば石粉砕するから。
どうにか無事到着。疲れた。あまり話さない俺ら。団子来るまで俺死にそう。
だって、女と逢引みたいなことしたことないし、早くきてよと願ってきた団子。
口に含めば相変わらず美味い。
隣からも美味しいの言葉を頂きました。なんか嬉しくて恥ずかしいこといった気がするけど、
なんか、美少女の目がこっちをじっと見つめてる気がするけど、全部幻想幻覚。
救い主が現れた知り合いの店主。この人は、なにかと俺にものをくれる人だ。
敵に塩をおくるてきな感じで。
だから、俺はこの人の団子を謙遜するところが嫌いだ。
俺が、敵になるだろうと思うほどの団子を甘んじるなと活を入れて叫ぶ。

「そんなことはない!!!俺はこの団子好きだ」

真っ赤になった店主。心意気は伝わったらしい、湯のみくれた。それからなにか言おうとしていたが、
横にいた美少女により中断。
君、結構食うね。俺のぶんまで食ったの?持ち帰りぶんも食ったの?
あの甘み王の篠神先生と張るな、あいつといいこの美少女といいどこにそんな入るんだろう?
と、感心していれば、なぜか外に出ていた。
良かった。今度は、俺が掴んでないから、力抜かなくていいんだと、ほっとしていれば、震えている。
食いすぎで腹を下したんじゃ。寒いし、俺は慌てて上の服をかければ、
大きな目の美少女がこちらを振り返り立ち止まった。
綺麗で可愛いってどんだけだ、うん、こんなんだ。と変なつっこみを入れたところで、
美少女は、美少年に変身。

まじで!と驚きはしたものの変化の差があんまないし、しかもその服見覚えあるんだけど。

そして、俺は、2人以外の後輩を知った。
それと、今回俺以外が女装してテストを受けていることに。
俺、5年間学園にいたけど、女装したことないよ。こっちのほうが驚きだ。

「おい、篠神!!どうなってる」

「成績に影響しないから、いいじゃないですか。おや、君はしたいんですか?」

「いや、俺にあれは難易度高いわ。どちらかと言うと今回は、ありがとう」

「いえいえ、それにしてもまた一人落としてきたんですか。君にも困り者ですね」

「はっ?なんか言ったか?」

くんお土産は?」

「食べられました」








2009・10・19

おまけ。女装しなくていい理由。

「のう、篠神先生、は組ののことだが、あやつだけ、女装しないのはその」

「学園長先生。くんは、女装しなくて、男から貰ってくる率が半端ないのですよ。
4年で一番のときもありましたし」

「そ、そうじゃが」

「もし、女装したら、どうなるか分かったもんじゃないじゃないですか!女装したら、
私は理性が保てなくなり、そのままさらってどこかの小さな町で結婚します。
ん?それはいい考えですね」

「5年は組の は女装しなくてよし!!」