『桜散る私の心はバーニング』と書かれた黒板。
そして、ニコニコと笑顔しか見せたことのない先生がトンと出席表を軽く机に叩き

「はい、というわけで、皆さん進級おめでとうございます。なんと4人もいて私は
嬉しいですよ。ハイくん、ここに君が持っている桜餅全部出してください」

「先生脈絡が全然つながりません」

「貴方なら分かってるって先生信じてます」

「この糞甘党が」

俺、 無事進級しました。

なぜか、一度も変わることない教師・篠神 悠一郎。
俺は、なぜこの男が教師が出来るのか不思議でならない。

「それは、先生は先生であり、くん、いえいえ二人の時はくんとお呼びしたほうがいいですかね?」

「生徒を自室に連れ込むのはよくないと思います先生」

「嫌ですね。昔見たく悠ちゃんと呼んでください」

「呼んだ覚えない!!」

「それしても、くんさすが私のこと分かってますね。ちゃんと桜餅を作ってくださってるとは、
また格段と腕が上がりましたね」

「まぁ、嬉しいけどさ、悠一朗さんよ。菓子以外のものも食べて生きようぜ」

「えー、私は、もうくんがいないと生きていけない体になってしまったと言うのに
酷いですよ」

「変なこと言わないでくれる?」

「だったら、私にご飯をくんが作ってくれればいいと思いますよ」

「俺が作ってもご飯は甘くないぞ」

「それでも食べます」

「わがまま」

「上等です。私はくんさえいれば生きれますからね」

「だから、その勘違いを招く言い方やめてくれよ」

あーくそ、俺のバカ。なんで足は食堂向かってんだろう。
しかも、素で喋っちゃうし、一応先生なのに、一遍でて以来それでって言うもんだから。
つい、あー自己嫌悪。あの人ちょっとイケメンなのに。でも、嫌いになれない。
だって、あの人俺のお菓子本当に嬉しそうに食べてくれるんだ。




7・鬼にもきびだんご





私にはとても可愛い生徒がいます。名を 
彼はとてもお菓子作りが好きで、何だかんだいって、私に甘いものをくれる、
今食べている桜餅のようにふんわり甘い子なのです。
私の部屋からは、桜が見えます。サラサラと彼が居なくなってしまうとその音だけが明確に
聞こえ始めるのです。

私は、昔、鬼でした。
人なぞ信じず金だけを愛した鬼でした。
頼まれれば、なんでも請け負い、
子供女関係なく、殺し方も何種類も選べる、優秀で惨忍な忍びでした。
血を浴びたこの身朽ち果てるまで、私はそういう生き方をしていくのだと、思っていました。
能面のような顔だな、と血を洗い流すたびに思っても別段どうってことはなかったのです。
しかし、桃太郎の話にあるように、きじや猿や犬を連れ鬼は人に退治されるのです。
どこぞの誰かとどこぞの誰かとどこぞの誰かが雇った忍びを相手に、
彼らを殺しはしたものの自らの体はボロボロで、飯も風呂も入れず臭く、髪も伸び放題で
ありました。鬼は、畜生となったのです。
人は私を避けました指差しましたが、それよりも
上から降ってくるチラチラ落ちてくるものの煩わしさに比べれればどうってことないことでした。
私は死ぬのか、青にピンクに白、全部煩わしい。そんな中で、
一つの異種。

「ねぇ、これいる?」

小さな肌色の手の上にピンクと緑。
これはなんだと、立ち上がれば、なんてことない少年が私にお菓子を渡しているらしいのです。
みなが避ける私を死に逝く私を
なんてこともないかのように、それが普通であるかのように。
私は目の前のものが毒かもしれないと思いました。
しかし、毒でもかまわないと思ってしまった。
口に入れれば、糞甘い。
そういえば、私は甘いものが駄目だったと思うのに、一口また一口、口は勝手に食べていくのです。
少年は、どこに隠していたのか分からないほどの量を私に与えました。
そして、全て食べ終わり糞甘い口の中。
初めて満たされている感覚に、ようやく笑えたんです。
彼も笑いました。私はもっと笑いました。
能面はとれ、今は彼のくれた笑顔だけが顔にあります。
そして、大の甘党になったのです。
しかし、彼は、知りません。私がそのときのものだと。
でも、いいのです。彼が変わらなければ、いいのです。
彼が甘いものを私にくれるなら、いいのです。
帰ってきた彼はぶっきらぼうに私にご飯を渡します。
口に含めば、ふんわりと笑顔が浮かぶ、

くん、私のお嫁さんになる気はありますか?」

「ない」

きっぱり断れてしまった、残念。
でも、
くん、今はね桜は綺麗だなって思えるんですよ。これって君のおかげなんですよね。







2009・10・16