こんにちわ。俺は、5年は組の藤野だ。
今回は、4年の情報を探ろうと思う。
え、なんのって、我々5年は組のちょっとしたお遊び
 は誰と落ちるのか」の、月1の講評会用の情報だ。
おっと、さっそく獲物を発見。

第1号は、ナルシストの平 滝夜叉丸。

「あ、あなた誰ですか?」

「誰って知らないの同級生なんだけど、ああ、知らないのか天才なんだろう?」

「・・・もちろんです。今のは、冗談ですよ。えーと、藤野さんでしたっけ、
なんですか。この平 滝夜叉丸の武勇伝をお聞きしたのなら、すぼらしく格好良く、
なおかつ美しく可憐に先輩へお伝え下さい」

「結構お前、抜け目ないよな。ってか、のどこがいいんだ?
言っちゃ悪いが、あいつは甘党で、料理上手の普通の男だぜ?」

「はぁ?」

このとき、平滝夜叉丸は、自慢の綺麗な顔を崩した。
俺に画力があれば、その場で書き写したいほどの珍妙な顔で、
自分の口上を垂れるよりも熱心に、の素晴らしさを伝え始めた。

うーん、これはどうしようか。
カマかけてまさかこんなもんがでるとは、情報まとめきらないしと
迷っていた俺だが。

「と、いうわけで、先輩は、魅力的なんです。分かりましたか?」

「あ、ああ。十分」

「・・・・・・あなたから見て、先輩は魅力的ではないといいますが、
私は魅力的ですか?」

よく息続くなと感心していた後に、急に、変な質問が来た。
一瞬、あっけに取られたが、俺は笑みを作り。

「一般的には、お前は魅力的だろうよ。お前のことを密かに憧れている人物。
憧れてはいるが、言ったらなんだか恥ずかしいと思っている人物。
正直、どこで襲おうかと思っている人物の統計学だけどな」

「・・・・・・そうですか。ならば、どうして先輩は、襲ってくれないんでしょうか。
女よりも美しいし可愛い自信があります。それに伴なう努力も惜しまないつもりです。
だから、先輩の友達からみて、私にはなにが足りない?」

・・・足りないというか、多いというか。
まず、足の間にある物を切断すればいいとか。
根本の問題だとか、そういう余計なことを俺は言わなかった。

「でも、お前が一番進んでるんじゃね?学園で口吸いしたのは、お前だけだ」

「え」

そういって、俺は消えることにした。
滝夜叉丸に捕まると、なかなか逃してくれないし、
俺だって結構忙しいから、一日で終わらしたいのだ。



「うわぁー」

「何回引っかかるつもりですか。タカ丸さん」

おお、目的人物2人も発見。
木の間を走っていた俺は、彼等がいる現場へ降り立った。

「へ、くんのこと?ていうか君誰?」

「あなた見たことある、確か・・・・・・・」

綾部が俺を指さして、コテンと首を傾げる。
容姿だけなら、のジャストストライクな可愛さだと俺は思っている。
完全女顔。しかも、は可愛系が好き。バッチリだ。
だから、俺の「 は誰と落ちるのか」の賭けている人物。
いや、話がそれたな。

「5年は組の藤野だ。大丈夫。名前なんて覚えられようなんて思っちゃねーから、
で、さっきの話だけど」

話を全て言う前に、綾部が前に出てきて話し始めた。

「私は、先輩の、手が好きです」

「手?」

「そう。あの手であの体、ビビッと来まして」

「へー何、肉体関係だけ希望?」

俺が、にっと笑うと、綾部の無表情と言われる顔が、少し動いた。
一瞬の沈黙。

「・・・・・・それじゃ、つまらないじゃないですか」

「つまらないって?」

「私は、いろいろな感情をした先輩がみたい。笑ったり、怒ったり、
泣いたり、鳴かせたり」

最終的に、肉体関係は希望なんだ。とサラサラ書いている俺の後ろから、
黒いオーラが立ち込める。ばっとそこをどくと、後ろには、にこにこと笑っている
齊藤 タカ丸。

「喜八郎くん。くんを変な目で見ないでほしいなぁ」

「なにを言ってるんですか。一番そんな目でみてるのはタカ丸さんの癖に」

「僕は、いいの。僕、この学園で一番長い間思ってきたから
自制は出来るつもりだし、誰よりもくんを知ってると思うよ。
それに、まっさきに頼られるのは、僕だ。君じゃない」

「大丈夫です。幼なじみっていうポジションにしか動けないあなたより、
可愛い後輩のほうが上です」

「・・・言うね」

ここから、彼等の氷の時間が始まった。
俺は、固まるわけにもいかなかったので、さっさとおさらばした。
あーだいぶしんどいと思いながら、組に戻ると。

「ん?お、三木くん。なんだ今日もいたの?」

4年最後の田村 三木ヱ門が座っていた。
木藤と、峰は、もうボード板を出して、講評会の準備をしている。
いつもながら、思うのだが、彼もそうそう鈍いよなぁ。

「用意できましたか?藤野」

峰が俺に始めるように促すが、俺はちらりと三木くんを見る。

「ああ、三木くんいていいの?」

そういうと、三木くんは吠える。

「僕は無理やり連れてこられたんですよ」

「ほほぅ。その目の前にある特性のプリンが俺にはみえるけど」

「・・・・・・・」

きっと、今日もの手伝いをしていたら、
篠神が現れて、そのまま逃げた三木くんを、
なんだか面白そうだと思った木藤あたりに、
餌をまかれて連れてこられたな。

「早くしてくれん?木藤、超多忙なんだけど」

木藤がにやにやしている。
情報集める手間はぶいてやった。崇めてもいいし。
と、わざわざ矢羽音で言ってくる。
癪に障るから、なんかしてやろうかと思ったが、峰からの重圧を感じたので、
俺は講評会を始めた。

「ていうか、これなんですか?うん?滝夜叉丸に、喜八郎にタカ丸さん?
・・・・・・ああ、あいつらが騒いでいる女の話ですか。
その話なら、耳にタコですよ」

講評会途中で言った三木くんの言葉に、みんなの熱いトークが止まった。

「いやはや・・・三木くんって、いろいろすげーよな」

のことになると本当に鈍いよなぁ。
名前完全に、言っているし、おちるとか好きとか言ってるのに。
まったく理解しない。素晴らしい。
あ、そういえば、三木くんに、聞くのを忘れていた。

「三木くん。のことどう思う?」

「急になんですか」

「いいから、いいから」

「・・・そうですね。色々とスゴイ人ですよね。
あの篠神先生に好かれているんだから。それだけであの人の凄さは十分。
あと、いい匂いしますよね。なんでしょうかね、あれは。
泣くよりも笑顔のほうが、僕は好きですね。いつも平和そうで、
幸せになってもらいたい人のひとりです。
あ、あとご飯とお菓子は絶品です」

「・・・・・・うん。おしい!!」

後ろでも、やっぱ、まだだよなと声が上がっている。
本当におしい。ほとんど毎日と言っていいほど好感度をあげ、
顔だって悪くないし、性格だってバッチリ。
男でも、情で訴えれば、一番いけるダークホースな
田村 三木ヱ門は、

「いつも僕にそれいうのやめてくれませんか?なんだか不愉快です」

自分の感情にすら気づいていない。
本当に、おしい。










2010・09・01