俺の夢は、将来美味しいお団子屋さんになること。
くのたまに調査した所、くんのお団子はとっても美味しいのだけれど太っちゃうのよね。
から、俺はあまり太らない団子の研究を始めた。
太らない食べ物を考え最終的に行き着いたのは、豆腐だ。
そう、白くてプルプルして可愛らしいそれ。
俺は、巷で評判な豆腐屋さん、豆腐屋さんの朝はかなり早い。のバイトをして、
食べれると思うほどにはなったと思う。
しかし、だ。俺・ は最大の過ち。
食べ過ぎてもう豆腐の味が分からない。周りの友達も豆腐はそんなに好きでなく、
どうせなら肉屋でバイトしてこいと言われた。
しょうがなく。トボトボと歩いていれば、耳にした言葉。

「兵助って、本当に豆腐大好きだよね」

「いや、俺は豆腐が好きなんじゃない。豆腐を愛してるんだ」

素晴らしい!
通常の俺なら関わらないでおこう思っている同学年のイケメングループに突入し、
「ならば愛してやってください」と豆腐を渡すことに成功。素晴らしい。
その後、彼に「毎日俺のために豆腐を作ってください」と言われた。
どうやら、豆腐の出来はよかったらしい。よかった。



2・きゅんとした!


豆腐は凄い、凄い所を言えばきりがないが、まずは柔らかさとあの焼いても煮ても
なんにしても食べれる素材。今俺の一番は冷奴だが、
だが、此の頃おれは少しばかり落ち込んでいた。
美味しいと評判の豆腐屋さんは何連続で失敗。遠い場所から巷まですべて失敗なのだ。
おかげで、実技も勉強もはかどらずにガタガタ。なにをしても上手くいかない。

「きっと、豆腐の神様が俺を見放したんだ」

「はっ!!」
爆笑している三郎を、キッと睨むこともできずに、落ち込んでいれば、
ハチが三郎を殴り、雷蔵が慰めてくれた。

「兵助って、本当に豆腐が大好きだよね」

「いや、俺は豆腐がすきなんじゃない。豆腐を愛してるんだ」

皆が黙り、凄い目で見られているのが分かる。でも、俺は本気だ。
世界中の誰が理解してくれなくとも俺は愛を叫んでもみせる。
たとえ、1人でも平気だ。と欝うつした気分のまま、泣きそうなとき

「ならば、愛してやってください」

そういって1人の男が俺に豆腐をそっと優しく渡してくれた。
服の色からして同学年だけれど見たこともないそいつの姿はもう後姿しか見えない。

「なんだったんだ」

呆気にとられている三人を尻目に俺は一口豆腐を口に入れた。
誰かが後ろで止めろと言った気がしたけれど、
カーニバル、ジーザス、クレイジー。
今まで食べてきたのは一体なんだったのかと思えるほどの幸せの味。
口の中で、パチパチと革命がおこっている。
もう、俺、この豆腐と結婚する。だって胸がキュンキュンするんだ。
一口食べてから何も言わず、泣き始める俺に、周りがあたふたし始めた。
兵助、大丈夫か?あいつ、なに食わせたんだ?容易に人から貰ったものを食べちゃ駄目だよ。
ほら、ぺっして。ぺっ。保健室!!てか保健委員こいー!!と周りの言葉は

「うまい」

で、黙った。それからの俺は調子がよく。スランプから抜けれて良かったなとか、
最近調子いいなと先生にも褒められる始末だ。
そして俺は、彼を探しに探した、神様の思し召しだろうか、
あの日から5日後食堂で豆腐をくれた人を発見、三人を放って俺は突進。

「毎日俺のために豆腐を作ってください」

と、言えば、彼以外、食堂でご飯を食べていた特に液体を飲んでいた人は吐き出した。
三人も何言ってんの?!とか大丈夫かとか言われたけれど。

「毎日はきついけれど、豆腐が食べたいなら、言ってくれれば作ってあげるよ」

とやっぱり優しい彼の、はにかみ照れたような笑顔に、
豆腐に抱いた気持ちと同じにように胸がきゅんとした。





2009・10・8