俺・ が忍術学園に入った理由は、美味しいお団子屋さんになることだった。
それはそれは、美味しい美味しいお団子を作って、皆美味しい幸せで、
そして俺もお金ざっくざっくな幸せな夢がある。
そのためには、読み書きが出来ないといけないし、お金の勘定も知らなくてはいけない、
人の気持ちに機敏に動き、力もあれば用心棒を雇うお金削減も出来るし、
忍術学園のOBということで贔屓してくれるかもしれない。
そんな感じだった。
入ってビックリしたのは、生徒達のイケメン率だ。
最初、顔の審査があるのかと思い、俺落ちるわと冷や冷やしたものの、
俺の顔は、イケメンではないものの普通だったからどうにかギリで入れたのだろう。
4年は組、いろは順で最後なのは普通の顔だからしょうがないと思った。
俺の自慢などちょっと怪力と鼻と舌のよさぐらいだ。
俺の友人達も普通顔。でも、彼らは全員恋人持ちだ。
なぜ、俺だけもてないのだろうか。醜い男の嫉妬のパワー舐めるなとばかりに、
川遊びの石投げをこれでもかと投げれば、川で飛び跳ねることなく違う場所でいい音が響いた。
「音からして四回ってとこか?」
現実逃避したかったが、証拠隠滅のために石を拾いに行った。
すると、5人、正確には倒れている4人と座っている1人と、石。
俺は、冷や汗を隠しながら、今一番いい笑顔で
「大丈夫でしたか」と手を貸した。そのときに、石も拾っておいた。
手を貸した人物は先輩でやっぱりイケメンだったが、俺はイケメンが多すぎる学園に来て
イケメンの名前なぞ覚えてやるかと変な嫉妬心のおかげで誰かは分からないが、
「え、あの」と声をつまらしている間に、俺は先輩のちょっぴり怪我している肘に
「怪我してます、ああ、大変だ。これは保健室に」と抱きあげそこまで送り、
どうにか現場から逃げることに成功した。後輩に姫抱きされた素晴らしい大きな衝撃で
きっとさっきのことは忘れてくれるだろうと、その日健やかに床について寝た。
1・眠り姫って手もあったのに。
ある日のことだった。僕が好きだという女の子がいた。
僕は断る理由がなかったから付き合った。
ある日のことだった。僕を好きだという女の子がいた。
もういいと言って泣いて去っていった僕は追いかける理由がないから、
僕はそのまま立っていた。
またある日のことだった。僕を好きだという女の子がいた。
僕は断る理由がなかったから付き合った。それを繰りかえしていれば、
いつしか僕は、学園一もてる男となり、学園一酷い男になっていた。
僕の同室で優しい友人の留さんは、僕を心配して。
「いいか、伊作。俺はお前がいい奴だって知ってる、俺がお前が優しい奴だって知ってる。
だから、好きでもない女と付き合う必要はない」
傷つかなくていいと、優しく僕の肩を抱いた。
「僕は留さんは好きだよ」と言えば、悲しそうな顔をしてその好きとは違う。
おまえにもいつか分かると、僕を抱きしめた。
ある日のことだった。僕が嫌いだという先輩達がいた。
お前がいるから、お前のせいで、よく分からないことを言われたけれど
僕が悪いんだと分かっていたから僕は罪を受けようとしたけれど。
「こいつ、ほんと可愛い顔してやがる。そうだ、もう女を抱けない体にしてやるよ」
と僕の服を脱がし始めた。僕は一瞬なんのことか分からなかったけれど、
5年生であったから意味を理解して、真っ青になり抵抗した。
先輩と僕の差は一年しかなかったけれど、力の差は歴然で、押さえ込まれてしまって
下の服まで脱がされそうになったとき。
僕はこれまで不運だったけれど、これ以上はないんじゃないかとか
死んだほうがマシとか、そんなことよりも恐怖が強くて目を瞑ったら、
う、ぐっと先輩達のうめき声が聞こえた。
ぎゅっときつく結んだ目を開けば、「大丈夫でしたか」ととても素敵な優しい声がして、
長次から見せてもらった異国のお話に出てくる王子様がいた。
王子様は、素敵な笑顔をみせて、僕を軽々抱き上げると保健室に連れて行ってくれた。
顔が熱くてほわほわしてくるくるして、王子様がいなくなった後僕は倒れた。
起きれば、心配顔の留さん。
「大丈夫か伊作」
「・・・・・・駄目かもしれない」
なんなんだろう。これは、胸の辺りが熱くてクルクルして、同じ場面を思い出すんだよ。
そして、目が覚めているときには王子様が良かったなんて、変な感情。
2009・10・6