「あんた、何をいってたぶらかしたのよ」

と、女の子から裏庭で襲撃を受けた。
女は集団になると怖い。だけど、くのたまが集団になると恐ろしい。

「なんで、お前なんだ」

と、実習で集中攻撃を受けた。
女の嫉妬も、男の嫉妬も恐ろしい。
しかし、忍びの技を持っている場合は、死に繋がる。
どうにか、今日を生き抜いた俺は、くたくたでへろへろで、どうにか体を前へ進めてると。

「あんたって、本当馬鹿ね。
立花 仙蔵って言ったら、とっかえひっかえで落としの達人として有名なんだからぁ。
あんたのブサイクな面がなかなかいないから、面白半分に構ってるだけに決まってるじゃない。
あんたのこと、好きとか嘘なんだからぁぁぁぁぁ!!!!」

うわぁぁあああぁぁんと、泣きながら張り手をして、走り去っていったのは、
仲の良いくのたまだ。
伸ばしかけた手を下ろし、がっくりと肩を下ろす。
・・・・・・もう、俺のHPもMPもゼロだ。助けてくれ。

彼女の言ったとおり、立花 仙蔵は、俺に好きだといったのは嘘だろう。
俺のこのブサイクな面が、ご自分のお綺麗な顔とあまりにも違かったので、
興味を持ち、近くで見てみよう。てか、からかって遊んだら楽しんじゃね?というとこだろう。
そうじゃなければ、なんだというのだ。
俺は、ブサイクだ。
あんなイケメンが俺を好きだということ世界が逆回転してもありえないのだ。
というか、嘘だと言ってくれなければ、俺は人嫌いになる。
友達ですら、このごろ俺を遠巻きに見てるんだぞ。助けてくれやしない。
これが、別れるまで毎日なんて耐えれない。
ああ、もしかして、これが狙いなのかもしれない。
だとしたら。

「そうとう嫌われている」

そういって俺は倒れた。目を覚ませば胸が重くて、俺死んだのかと思えば、
わんわん聞こえる泣き声。

「わぁぁん、死なないでぇ」

どうやら、俺は立花 仙蔵に対して二度目の保健室行きになったようだ。
我が友、伊作よ。死ぬなというなら、そこをどけ。苦しいわ!!





【ブサメン2】






「伊作よ。奴は何を考えてるんだ?」

「さぁ、僕にもよく分からないなぁ」

と困った顔をした。

「おいおい、分からないじゃないだろう。お前、立花と仲いいだろうよ。
友達だろうよ!!」

「そういうは恋人でしょう!!」

二人は顔を見合わせて、沈黙した。
何秒かの沈黙の後には、盛大なため息。

「俺、きっと立花に嫌われているんだと思う」

「・・・・・・その心は?」

「だってさ、あれ以来あんまり会わないし、
会っても、なんか視線すらあわせてくれないしよ。
なにもしないし、なにもないし、恋人って始めてだけど、こんなもんなの?」

「うーん、そうだね。恋人ではないかなぁ?
そもそも、なんで仙蔵は、なのか。
を相手しなくても男に、女に、相手は大勢いるのに」

うん。伊作。お前黒いぞ。もうちょっとオブラートにくるめや。
けど、確かに、付き合って?から分かったが、立花のモテ具合は異常だ。
モテたい、イケメンになってと昔夢みていたが、やっぱり遠慮しとく。
やっぱり、俺には一人か二人くらいがお似合いだ。
いや、いくら俺がブサイクだからと言って、ゼロはさすがにないはずだ。
どっかの誰かが、人生で一人くらいは自分を好きな人はいるって言ってた。
じゃないと、世界の均衡が保てない。
綺麗がいて、ブサイクがいる。可愛いがいてブサイクがいる。
つまり、ブサイクは死なない人種ってことだ。
と、ブサイクの考察はここまでにしておこう。
今の問題は、俺と立花だ。
伊作から話を聞くに、女から話を聞くに、男からの話を聞くに、
総合結果。立花は、遊びだ。だったら、俺のすることは決まってる。

「もう、流石に別れてくれって言おうかな」

遊びでここまで追い詰められて、はっきり言って迷惑だ。
というか、立花 仙蔵のイメージは最悪だ。
恋人とかマジないと呟けば、スパーンと襖が開いた。デジャブーだ。
まさか立花かと俺は、伊作を盾に身構えたが、
開けたのは、隈が酷い学園一忍びをしているという噂の、ギーンギンの
会計委員長の潮江が立っていた。

ほっとしたのも束の間。潮江は、ヘッドスライディングしながら俺の目の前で土下座した。
俺は、チビリそうなほどビクった。煙が出るほどのそれを信じられない顔で見ていれば。

 

と、大声で名前を呼ばれた。
俺は条件反射で、ついはぃぃと情けない声をあげた。

「あれでも、あんな奴でも俺の友人なんだ。
誰かに攻撃されるとか、誰かにいじめられるなら、
俺に言え!守ってやる。だから、別れるとか言ってやってくれるな」

あ、俺、好きだって言われるのがこの人だったら上手くいったのに。
と、うっかりときめいて泣きそうになった。
いい友人を持ったな立花と、そろそろ土下座をやめてもらおうと、
そっと彼の肩に手をかけた瞬間だっただろうか。

「文次郎、貴様!!」

と、上からの立花の足技が、潮江の頭に入った。
潮江は、床にめり込んでいる。息をしているか、怪しい。
後ろで、伊作が慌てていて、俺はふつふつと怒りがわいてきた。
ふんと、仁王立ちする立花に、詰めより。

「なんてことするんだよ。立花。
潮江はお前のこと心配してくれたのに、マジありえねぇ」

「文次郎が変なことを言うから、いけない」

と、ツーンとしている態度にプツンと来た。
俺は、温厚な方だと思う。なかなか怒らないし切れないと有名であった。
俺、ブサイクだから、心ぐらいは綺麗で言ようと思ったんだ。
嘘です。すいません。事なかれ主義です。
まぁ、そんな俺はなかなか怒らんわけですよ。
立花に遊ばれているとか、それが原因で、いじめられているとか。
だけど、友人のために必死に土下座をする潮江を思い出した。
あいつは、い組だから、は組に土下座するなんてプライドが許さなかったはずなのに。
それなのに。俺が、お前のことで一番許せないのは。

「友人をないがしろにする奴は、大嫌いだ!!!」

そういって、俺は怒りに身を任せて保健室から出て行った。
その後?はん、俺に関係ない。ただ、立花の姿が見えたら総無視ってことだ。
おかげで、別れたらしいと噂が流れて、俺を攻撃する人はいなくなった。
「あんた、どうやら立花と別れた人物の最短日らしいわよ。まぁ当然よね」
と、そんな情報を嬉々として親しいくのたまが、教えてくれた。
だから、俺も教えとく。

「お前、立花 仙蔵だけはやめとけよ」

本当に、嫌な奴なんだ。













2010・2・8