綺麗な場所ですね。心が表れます。
小さな花弁が揺れて、広い草原で、私達3人だけ。
ちょっと怖いですね。ちょっと涙が出そうですね。
そうですね、ここはあの人みたいな場所です。
私とって彼女は悪だったけれど、彼女はまさしく天女で、
清浄でふわっと浮かぶ花弁一枚すら、掴むことがかないません。

無言でいる私を二人はぎゅってしてくれました。

ええ、私は善ではないようなのです。彼女が悪であると思ってしまったときから、
私こそが悪であると気づいていたのです。
悪であることを誇ることも出来ない。
小さな私は、悪であることを恐れて、罰を恐れて、逃げ惑いました。
どうして、彼らが私を握り締めてくれているかは分かりませんが、
私が彼らをこの世で一番愛していることに変わりはないのです。
美味しいおまんじゅうをたくさん買いましたから、みんなにおすそ分けです。
昔は、自分のことで精一杯だったから、できなかったことできるようになりました。
それは二人のおかげなのです。
だから、何が来ても大丈夫。
いいえ、今度は彼らが苦しいときは私が助けられるように頑張ります。






気づいたようですよ。と。私に言ってきた穴掘り小僧。
穴掘り小僧は先輩を裏切ったというのに、なんてこともない顔をして、
「いい気味です」
ざっと鋤を土の上に立てた。
「でも、先輩は認めないと思いますよ」
鋤を上から踏んでもっと深く刺す。

「そんなことは分かっているさ」

私の顔をみて、穴掘り小僧は大きな目を私によこした。
あの日、近くにいた三年から聞いた様子では、
彼らは自分の非を認めなくて、盗られたという思考だけが先行しているようだ。
忍びともあろうものが、冷静さを欠いている。
しかし、その情報で、彼らがを大切にしていた。
大切が、子供のように、ペットのようにではないことがうかがい知れる。
私と雷蔵が抱いている気持ちと同じである。
クククと笑いがこみ上げる。本当にあの女は天女様だったのだろう。
あのままでは味わえなかった幸福。得れなかった感情。
それを私達におあたえくださった。
あれらがやった愚行により、壊れてしまったは、あれから私達に縋る手ではなく、
愛する手に変わってきている。
愛しい、幸せ、温かい、嬉しい、大好き。直でくる感情の波。
彼女が私達を捨てない確たる証拠・彼女自身を、彼らは知らないのだ。
ああ、笑いが止まらない。

遠くから私を見つけて、ブンブンと腕を振っている。腕が取れてしまいそうなほど多きく
笑顔で振っている。横にいる綾部が少しだけ眩しそうにを見ていた。
私は、彼女に手を振る。顔はきっと笑顔だろう。

「・・・・・・顔、にやけてますよ」

そうか。私もうつっていたらしい。
感情がダイレクト。愛してる。愛しい。幸せ。大好き。もう離さない。






「おい、不破」

いつになったら来ると思えば、案外遅かったですね。
他の学年の妨害が、きつかったですか?
なんてことは言わず、隣の三郎はうすら笑い。僕も笑う。

「なんのようですか?」

6人そろった彼らは、皆一様に暗い顔。
その顔、あなた方もさせていたのですよ。知っていますか?

「返せ」

返せ?何をですか?ものですか?僕はあなた方に何も借りてませんよ。
三郎、君は?いいや、何も借りてないさ。
では

「「一体何を返せと言うんですか?」」

埒があかないと、立花先輩が出てきた。先輩、綺麗な髪がメヂューサのようですね。
とても怖い。綺麗な顔が醜く歪んでいますよ?
そんな顔もさせていたことも知らないでしょう?
大切なもの?愛しいもの?

「あなた方に、そんな人がいたのですか?知りませんでしたよ」

僕は今、頭に血が上って大変だ。殺気が地を這うように出てくる。
大切なのに、愛しいのに、放っておいて、一人にさせて、
声がないから、叫べない彼女を、
声がないから、言えない彼女を、
あんなことにしておいて、いまさら何を言っているんですか?
大切?愛しい?嘘をつかないでください。
あなた達がただ、自分の言葉を素直に聞いてくれる人がいればいいそれだけだったんですよ。
そして、それを独占したかっただけ。

「僕らは、を愛してますけれどね」

そして

も僕らを愛していますけれどね」

凄い違いでしょう?
彼女と僕らを見ていたでしょう?内気じゃないですよ。とっても外好きですよ。
人見知りだけど、徐々に直ってきて、このごろ友達が増えたんですよ。
本も好きだけど、お話も好きだけど、それ以上に一緒に出かけるのが好きなんですよ。
知っていましたか?の昔。苦しかったことと嬉しかったこと。
知っていましたか?の涙。儚く泣かないで、このごろボロボロで泣くんです。
知っていましたか?の笑顔。大きな口で、目が消えて子供のように笑うんです。
知っていましたか?の愛。あなたたちみたく他の女が来ても手放せるわけないものです。
裏切られたなんて顔。しないでくださいよ。
ぐっちゃぐちゃに潰したくなる。


ああ、なんですか。口で敵わなければ、実力行使ですか?
はは、分が悪いね。三郎。
殺されないように頑張ろうか。三郎。

でも、負けても、どのみち僕らの勝ちですけどね。

そして、そうしたのは、あなた達が悪いのであって、僕達はただ愛しただけなんです。

。僕達も、僕も愛しているし、大好きだよ。













2009・12・6