「はーい、じゃぁ、わかった人は手を上げて」
「はーい」
私の人生で一番最初で最後の記憶は、皆で手をあげている教室。
夏の暑い日で、おばちゃんが、スイカを冷やしていてくれた。
ミンミンと鳴いているのは蝉で、一週間しか生きれないことを知識と知りながら、
現実ではないと否定。ブラウン管の中では、昔のドラマが再放送。
「愛してるの」
「ねー、おばあちゃん。愛してるってなに?」
「あら、おませちゃんね。小春ちゃんも大人になれば分かるわよ」
ウフフと優しく撫でてくれたおばあちゃんは、シワだらけのしわくちゃな手だけれど、
私はおばあちゃんが大好きだった。
なでられて、目をつむれば、
私は中学生。
「好きだ」
薄暗い教室、人もまばらで部活動の声が響く放課後で、人生初の告白。
男の子は、私の友人で、少し恥ずかしそうに頬を染めて、私のことをしっかりみていたから、
私はコクンと頷いた。
その日からバラ色桃色ピンク色。
なんて、嘘だ。キスだってレモン味なんて、夢物語。
好きだよって言われる度に、自分の何かが少しづつ削れて良く感じ。
「何も要らない。あなたがいればいいの!!だから私をみて私を愛してよ」
ブラウン管は、今日も過激に夢を語っている。
それに浸りながら、私は、蝉の音なんて川の音なんて聞こえない場所で呟く。
「ねぇ、本当にこんな気持になれるのかな?」
答えは返ってこなかった。
ピンクのマフラーを付けている女の子が目の前に立っている。
その子が詰め寄って驚いた顔。
そんなに、私と遊ぶのがいやなのって思えば、
違う、違う、だって、あんた。
彼氏は?
「だって違うんだもん」
「違うって、前もそんなこと言ってなかったけ?」
「違うもんは違うの」
「この贅沢者めー!!」
女の子同士は楽しい。削れた部分を補って、
ありえないと思っている夢を語られるから。楽しいを共有できるから。
たとえ、後ろでどう言われても、表だけでも大丈夫。
楽しければいいの?
いいの。
そうして、プルルルルと鳴ったプラットホームに、
カッと光った何かに私は世界を渡った。
渡った世界は、昔の世界で、
それの世界はおばあちゃんと一緒にいた世界に似ていて、
前の世界よりも懐かしさに浸れた。
だけど、悲しくなかったって訳じゃない。
男の子の好きは、珍しさに言っているだけだってわかったけど、
女の子はいくら大人といっても子供で、そんなことにも気づかなくて私を受け入れなかった。
でも、考え見てみれば、そんことは当たり前、私はまったくの異邦人。
諦めていた時に出逢ったのが、 ちゃんだった。
彼女は、強かった。
力だけじゃなくて精神も、私の何倍も強くて、
可愛くて、でもどこか危なっかしさがある子だった。
人との関わりを拒否しているところがあって、
勿体無いと思ったから彼女に色々な人に会わせた。
彼女は、笑っていて、私も笑っていた。
彼女といるときはとても和んだ。
楽しいじゃなくて、和んだ。そんなことは久しぶりだった。
小学生の裏を読まなくても良かった頃に似ていた。
少したてば、私はあの世界を忘れつつあった。
高いビルの中で、どこから来るのかはっきり分かる風に吹かれて、
ブラウン管を見て、夢を拾う。
振り返れば、何もいらなくて、悲しいって思ったこともあったけど
私、この世界に来てよかった。
そう思ったときから私は少々わがままだ。
喜八郎くんと滝夜叉丸くんの姿が見える。
彼らが、見ているのをみて、
腐食は進んでいる。どうしようもないなぁ。
なんて第三者の振りしたけれど、
その中に入ってしまっている私は、もう腐ってる。
ドロドロで、ゴミに捨てなくちゃいけない。
だけど、もう少し待って、もう少し待ってよ。
彼女は、幸せ。私も幸せになれる時が、もう少しで来るの。
ああ、なのにどうしてあなたは走っているの?
ああ、ダメ。ダメだよ。
誰かの、手を捕まえる。
ミーン、ミーンと蝉が鳴っている。
「はーい、じゃぁ、わかった人は手を上げて」
はーい、この手を離せばいいんです。
そしたら、彼も幸せ。彼女も幸せ。
もう両方共苦しそうな顔なんて見なくていいんです。
いいえ、徐々に彼が苦しそうな顔をし始めました。
ひどく悲しい顔で彼女を見るんです。
そんな顔を見るのは私も悲しいです。
だけど、私だけが、悲しいハッピーエンドは、嫌なんです。
ああ、たぶんこれが好きです。
本当の好きなんです。
足にしがみついて、蹴られても離したくないんです。
この世界に来てよかった。
私は本当の恋をしました。たとえ、それがまだ偽物の恋でも。
私が本物なら、本物なんです。
悲しそうな顔をしないでください。
哀れなんてそんなはずはないのです。
私はこれから幸せになれるのです。
彼ももちろん幸せにしてみせます。
一緒にいて良かったって言わせてみせます。
だから、そんな顔をしなくてもいいんです。
私は前より幸せですから!!
だから、あなたの手を離しません。
絶対に離しません。
2010・3・26