これなんて言う名前の罰ゲームだと思う?
相手が善意だと思っているから、これは親切って言うんだよ。

ピチチチと、鳥の鳴き声がこだまする。
私は、鳥の様子を見ながらも、横の人物に気が抜けない。
休日にイケメンこと、利吉さんが顔が合えばにっこり笑い返してくれる。
普通の男女の仲になりたがっている人ならばチャンスだと思うだろう。
しかし、男の方が、女の方を妹という親愛感情しか持ちえなく、
また、女の方もそれをよく理解しており、
一度、その思いに泣いたこともあり、諦めがちゃんと付いている女だとしよう。
二人の関係は、友好的である。
外側も内面も、だが、だが、一度傷ついた心にバンソーコーでとめて
治った上から、もう一度衝撃を加えるとどうなるか。
その通り。傷が広がります。
この人が優しいのが悪い。この人が甘いのが悪い。
この人が・・・・・・・色々な言葉が溢れてくるけれど、
目の前の人は私の気持ちなぞ知らずに笑って、
今日も可愛いね。と言って短くなった髪にキスを落とす。
本当にやんなる。イケメンのキザめ。
と赤い顔を隠して怒ってみるけれど、彼はそれにも甘い顔で笑う。

「小春さんは、僕らを仲良くさせるつもりかな」

「・・・・・・どうしてそう思うんですか?」

「彼女が君の暇な日で、かつ誰もいない時間を教えてくれたんだ」

「もー、利吉さん仕事行って下さいよ」

「おや、私に来られると何か嫌なことでも?」

「別に、嫌とかじゃないですけど、一人になるたびにこんな来られると
噂立っちゃいますよ。いいんですか。好きな人に誤解されて」

言って、後悔した。前この話題を出したら暗くなったのを忘れていた。
気づいたときにはもう遅くて、無言が部屋に広まり、
私はおそるおそる利吉さんを見れば彼は私の顔をじっとみていた。

「誤解されても構わないよ。寧ろ好都合」

にやりと笑う。彼は少々獰猛で、男なんだなと思うのと、
なぜだか、好きな人は、私だと言われているようで。
いや、私を好きだとかは痛い勘違いだから、と、赤くなった頬を押さえる。
だって、綾部くんのときだってそうだったしと、今度は急速に冷えていく自分の熱。
?とこちらをうかがう利吉さんになんでもないですと答えた。

そうだ。 
勘違いをしちゃいけない。一回深呼吸をする。
私を好きになってくれる人は一人もいない。
誰かに言われた言葉を反芻する。
そうすれば、いつもの私に戻れた。
バンソーコーははがれそうだったので、上からもう一枚重ねてみる。
不恰好だけれど、胸がむず痒いことはなくなった。
またと利吉さんが出て行ったあとに、にこにこ顔の小春さん。

「ねぇ、どうだった?」

「どうもこうも、利吉さんは私のことを妹としかみていませんって」

「いやいや、私は、脈アリアリだと思うよ。利吉さんは優しい人だけど、
ちゃんには特に優しいもん」

「あれは長い付き合いですから」

「そんなことないって、絶対。絶対。利吉さんはちゃんのこと好きだし。
告白したらOKもらえるって。もう、しちゃいなよ〜」

あははははと、懐かしい恋バナトークーに苦笑が出る。
結果が分かるものはしない主義なんですよ。と言っても私のことを応援している
小春さんからすれば、断られるという選択自体がない。
結婚話まで飛んでいっているのだ。
そろそろきつくなってきたので、話題転換。

「そういう小春さんはどうなんですか?」

え、っと顔を赤らめる小春さん。
私はその顔をみて、
なんだようやく気づいたのかと小春さんに渡された湯飲みで、笑みを隠した。
あのね。うーんと。ともじもじしてようやく赤い顔のままの小春さんが、
小さな声で私言う。

「あのね、私どうやら喜八郎くんのこと好きみたいなの」


可愛い小春さん。あなたの言葉を借りるようで悪いですが、
あなたの恋の方こそ成就しますよ。告白したらOKもらえます。
はやくしてください。お願いします。
自分でしときながらなんですが、私、今結構きついんです。
ああ、はやく二人がくっついて、風化してくれないかな。この思い。


二人の直線は、向かい合った。










2010・1・25