私は菩薩でも心が海のように大きいわけではない。どちらかというと、雀の涙ほどしかないだろう。
それをプライドで大きく見せているだけだ。
ならば、なぜに。私を嫌いと言う綾部 喜八郎の好きにさせているかというと、
彼の容姿だ。女よりも可愛らしく大きな目に、柔らかそうな髪、
綺麗な整った容姿、まさに憧れていた像そのままの姿なのだ。だから私は彼を放っておくのだ。
そのせいで、仮友達すら攻撃をされたとしても、ちょっと被害が拡大しても、
というか彼が私の言うことを聞いてくれないだろうという諦めのほうが強い。
話は変わるが、忍びにとって色とは、肉体を行使した技だけでなく、恋という感情を表す。
厳禁三原則の中に入っているこれを、年若いものが守れるはずはないだろうと、思ってはいたが、
自分の身に降りかかるとは思ってはいなかった。勘違いであっても、恋する彼女らには、そうとしか見えない。
恋は盲目らしい。今回の騒動の一端はまさにそれ。
しかしだ、無理やり止めてしまったら、どこかで爆発しちゃうんじゃないか。
そして、迷惑をこうむるのは私なのではないか。
「と、言う訳で私は、やつらを止めるのは良くないと思うのです」
「ふむ、わしとしては構わんが、お主は大丈夫なのか?」
構いません。と口を開く前に、綺麗な女性のほうのシナ先生が、障子をスーパンと開け、
彼女はくの一に慎みを教えていたはずだ。キッと元々上がり目だった目をさらに吊り上げて、
「構わないわけないでしょう。さん。貴方はくの一である前に、女の子なんですから!!」
と私の頬の傷。正確には、頬に張った湿布を優しく撫でてなんとそのまま学園長に深々と頭を下げた。
「お願いします。学園長。 をぜひ、忍たまにさせてください」
えっ?や、駄目でしょう。男の中に女って。
「ふむ、わしとしては構わんが」
構わんのか!!
「さんは、くのたまで、一番の成績で、正直忍たまにも負けないでしょう」
過大評価ぁぁ!!!過大評価は止めて。居眠りとか出来なくなる。
「それに、なにかあればの時に近くにいたほうがなにかと頼みやすいでしょう」
なに、これ以上増えんの?おつかいと言う名の個人的なわがまま。
「よし!!乗ったぁぁぁ」
ちょ、ちょっと待ってよ。そこに食いつかないでよ、ってか本人の意思は?
私は本心を言うことも出来ずにトントン拍子で進み、部屋もくのたまの部屋から、
教員部屋にある物置部屋、私は一人で掃除をした。えらい。になった。
私がくもの巣を撃退している頃、移動となった原因の二人は静かにお茶をすすっていた。
コトンと学園長が湯飲みを置いたことを皮切りシナ先生が口を開いた。
「本当に、ありがとうございます。学園長先生」
「構わん、わしもあれには気をかけていた」
シナ先生は、目を伏せて悲しそうに
「私は教師失格ですね。こんな事態になるまで気付かなかったなんて」
目を瞑れば、授業中を思い出す。個人戦で、鉢巻を多く取ったほうが勝ちな単純な試合は、
全員対の構図になった。まさに、サバイバル。
今回の出来事で、頬に傷と細かい傷に、腹に打撲、打ち身、軽症程度で終わったのは、
経験がみんなより多いがターゲットだったからだ。おかしいと思いながらも、最後まで続けてしまったのは、
人としての性。色々な手で交わしていく彼女に興奮を覚えてしまったから。
教師として失格だと彼女達をしかりつける間に自分も責めて欲しかったのに、
彼女はきょとんとした顔して
「先生、これは授業です。何を怒っておいでですか」
彼女の精神力の強さを見せつけられた。
「学園長先生、彼女は強いです。だけれど、まだ子供なんですよ。
ここでは、そういう場所であって欲しくないんです」
「分かっておる、だから今度はあやつの気心知れた奴と同じ組にしといた」
どんな顔するか楽しみじゃと笑う学園長に、シナ先生はようやく笑顔を見せた。
いや、あれだね。どちらかというとい組かなって思ったけど。
「元くのたま四年い組の です。よろしくお願いします」
「なななななな、なんでがここにいるんだぁぁあぁああ」
「綾部君と同じ組じゃなくて本当に良かったよ。コレからヨロシク、三木」
四年ろ組 田村 三木衛門
今から四年ろ組 、私の幼馴染 マル