私っ完璧無欠のくのたま!!だったんだけど、
このごろ、色々なことが分かって、
普通平凡な顔立ちと、とってもドジで
任務一つ成功したことがないってことが分かった。
だから、今は完璧無欠の私になるため目下努力中だ!!
・・・・・・いや、別に理由などないわけもないこともないのだが。
そ、そのだな。
私の彼氏というか恋人というか、素晴らしくいい男がいるんだ。
名前を田村 三木ヱ門という。顔も体も中身も名前すらぜんっぶ完璧な男で、
毎日見ていても飽きない我が恋人様なのだ。
だから、当たり前な話。
彼はもてる。4年で、一二を争うほどもてる。
変な趣味があるけど、顔良いし、性格だって悪くないんだよね。
前、重い荷物もってもらっちゃった。女の扱いよく分かってる。
狙っちゃおうかな。など何度聞いたか分からない。
そう言った彼女らは、どう見たって、私よりも可愛く綺麗で、忍術だって上なのだ。
これは、いかん。
彼をいつか彼女らにとられてしまう!!
「だから、文ちゃん先輩。私は彼のために目下努力中なんだ」
「ほぅーそれはいいが、さっきから休みが多くないか?」
「・・・・・・・文ちゃん先輩。おかしい、私の体がちっとも動いてくれないんだ」
「・・・あれくらいで、これとはたるんでる」
「うぅ、出来るだけ声を小さく。体に響いて、痛い」
情けないことに、トレーニングをしすぎて動けなくなった私は
部屋へ帰れず、文ちゃん先輩におぶって貰っている。
文ちゃん先輩は、夜のトレーニング中よく会って、それを繰り返すうちに、
私のあまりの落ちこぼれぐあい見ていられなくなったらしく、
色々教えてくれるようになった。
名前は、聞いたけど、文ちゃん先輩としか覚えていない。
「お前の彼氏とやらは苦労するな」
と、呆れる先輩はちょぴっとだけ我が愛しの恋人様に似ていた。
だから、聞いてみたのだ。
「・・・前回よりも、胸の感触する?」
「いや、まったくわから・・・お前は、もうちょっと慎みをもて」
「だって、いくら恋人だからと言って、胸触ってくれなんて、流石に恥ずかしい」
と、言えば少し赤かった文ちゃん先輩は、とうとう耳まで真っ赤にして叫んだ。
「バカモンが、忍びが三禁破ってどうする!!」
だから、私も叫んだ。
「あほもんが、男女が子孫残さんでどうする!!」
そういえば文ちゃん先輩は何も言わずに私を運んだ。
温かい体温と、疲れた体に、前なら眠っていた時間、大きな背中
色々なものがかさなって私はそのまま眠りについた。
「おい、ついた。って、またか。本当に、くのたまらしからぬ女だな」
彼は、の部屋の襖を開けて、そのまま布団に寝かせようとすれば、
自身の首から腕をなかなか外さずに抱きついてくる。
寒いのだろう。上に布団をかければすぐさま離すのだから。
「まったく、良い性格している」
「でも、嫌いではないのでしょう?潮江先輩」
「・・・雹か」
「うふふふ。ご苦労様。今日も私の可愛かったでしょう?ええ可愛かったに違いない
ああ、私の。なーんで、あんな男に盗られてしまったんでしょうか。
このままでも私は、十分には完璧に可愛いと思うのです。
なのに、なのに、努力なんてされたら、もっと可愛いじゃないですか!!
悶え死ねと?私にそうおしゃるのですね。いいでしょう。バッチコイです。
私はあなたのためなら死ねごぶぅぅ」
熱く語りはじめた雹を殴ったのは秋穂で、雹は油断していたのだろう。
完全に落ちた。
秋穂は、ペコリと文次郎に一回お辞儀をして。
「じゃぁ、おやすみなさい」
と文次郎の腕を掴むとの部屋か投げ飛ばした。
本当に割りのあわない待遇だけれども、次回も同じことをするのだろうな。
そう、思いながら彼は闇夜の中に消えていった。
田村 三木ヱ門は、悩んでいた。
何をと言われれば今この状態だ。
彼は自分の尊敬する先輩である。そして、彼女は自分の愛しい恋人である。
彼女と先輩のそういう状況になっているのを知ったのは委員会だった。
委員会で匍匐前進をしていたところ、よく聞く声が聞こえた。
「ほわぁー、い、痛いかもしれなくはないかもしれないこともない」
服が破れて膝には血が出ていて、転んですりむいたんだろう。
ああ、何もないところでこけるなんて可愛すぎだろう。
きっと右足を左足で踏んだとかなにかで、痛いのを我慢して半泣きなのが、
そうとうくるなと、冷静に愛しい彼女を眺めていたのだが、
ふーふーとか、やっている彼女。
涙が、膝に落ちて痛みを必死に耐えている彼女。
僕は、ドSではない。ただ、彼女の全てが僕のツボにはまるのだ。
そろそろ、助けに行こうと、委員会そっちのけで行こうとしたけれど。
「・・・・・・休憩」
と、潮江先輩がナイスタイミングで、言ってくださったので、
と、愛しい僕の恋人を呼ぼうとしたが。それより先に潮江先輩が
彼女の元へ行っていた。
「たっく、今回はなんだ?」
「あぅ、文ちゃん先輩!い、いや、なにもない。なにもなっていないよ。
これは・・・・・・そう、鼻血です。鼻血!!」
「鼻から血でてねーよ」
「鼻血が鼻から出るとは限らない!!」
「阿呆。鼻から出るから鼻血なんだ。ほら、伊作っとこ行くぞ」
「え、遠慮する」
「・・・・・・また、服汚れるとか、変なこと考えてないか?
とっくの昔に俺は訓練によって汚れてる」
と、言ってそのままをおんぶして保健委員に行ってしまった。
僕は伸ばして手を下ろして、そのまま頭に手をやった。
「なんてことだぁぁぁ!!!!!」
と、叫びそのまま走り去る僕を「田村先輩?!」と後輩の止める声が聞こえたが、
左門さながらに、真っ直ぐ走った。
「と、いうわけでな。滝夜叉丸」
「・・・・・・なんで、私の元に来る」
「他の奴に行ったら、が可愛いことがばれて、好きになちゃうじゃん。
だけど、お前が惚れても、は相手しないし、僕も思いっきり殴れるだろう?」
と、言えば震えて、なんで私が惚れなければ、ならないと言っていたが、無視をした。
「相手は、ギンギーンの潮江先輩だ。まったくのノーマーク。
三禁とか言いながら。くそぉ、分かる。僕でもを相手にしたらそんなもん破る」
「話を脱線させるな。お前は、邪魔したいのか、ノロケたいのか。
どうにかしろ!!」
「もちろん。僕の愛しい恋人の恋人は僕だけで十分だ。
だけど、このごろ可愛くなってし、邪魔したいけど、
頑張って完璧になるからねって、必死な顔で言われたら、密かに邪魔するしか出来なくて」
「邪魔するなよ。それでなくても、は留年ギリギリなのに」
「まさか練習にかこつけて、潮江先輩が、を狙っていたなんて、
ああ、だからあれほどもう完璧だからいいって言ったのに!!」
「・・・・・・言っとくが、三木ヱ門。は前と変わらず、普通の顔で、
任務一つ成功させたことのないダメなくのたまだ。このごろは、努力しているのが
垣間みえて昔より可愛くなったのは事実だが。
完璧に見えてるのは、お前の脳みそが腐っているせいだ。
潮江先輩は、惚れていないだろうし、あまりのダメ加減に見かねて教えたぐらいだろう。
本当お前、これで何人目だ?触っただけで、惚れたとか。喋っただけで、惚れたとか。
治療をしている善法寺先輩に、喧嘩売ったり、
髪をきらせただけでタカ丸さんに、疑惑をもったり。
簪やっただけで、私が惚れているとか・・。
そろそろ目を覚ませ。阿呆」
そう滝夜叉丸に言われ、僕は立ち上がり滝夜叉丸の部屋を出ていく前に、
振り返っていった。
阿呆は、どっちだ滝夜叉丸。僕が知らないとでも思っているのか?
「それなら、なんでから奪った簪、いまでも大事に持ってるんだ?」
そういえば、目を見開く滝夜叉丸。
ふん。
馬鹿にするな。僕だって、ちゃんと惚れているか惚れていないかは分かっている。
だから、報告という名の牽制をするんだ。
2010・1・22