マジかよ。
一位がまさかの善法寺伊作・ペアで、なんの幻覚だと言えば、
伊作は怒って「酷いよ。留さん。いいたいことは分かるけど!!」
と、横にいるを見やる。最初と違うその姿に違和感を持った。

俺は、噂が流れても、が悪いわけではないことを知っている。
俺の恋人である蒼が、暴走しただけだ。
本来なら蒼が受けるべき中傷であったが、
蒼がを愛しているように、も蒼を愛していて、
は真実を言わなかった。
彼女は、言われない罰を受けている。
俺の胸で恋人は、何度も。と泣いていて正直妬けるけれど、
彼女に何度も言われた話を聞けば、蒼との絆は理解できる。
感謝することはあっても、嫉妬はお門違いなんだ。
それに、は、他の女のようにうるさくなければ、毒もないし、落ち着いてる。
好意を抱く性格をしていた。
だから、の無実を、伊作に言ったのだけれど、
あの女「天女」にやられている伊作は何を言っても無駄だった。
なのに、どういったことだろう。

「まぁ、実際全部のおかげだったんだけど」

「運が良かっただけですよ」

「あはは、それ一番、僕に似合わない言葉だよね」

名前を呼び合い、目を見合い、仲良く喋る。
最初の時と全然違う。
なにがあったんだ。と二人を見ていれば、と目が合った。
ふっと緩める目じりに、ああ、そうだった。と思い出す。
そういえば人の幸せを、自分が不幸であっても祝えるような少女だった。
こうなることは当たり前だ。
いくら伊作が参っていても、あの「天女」などに、は負けるような女ではないのだから。
二人を見ていて、もう一つ気になったことを聞く。

「伊作、お前汚れてないし怪我してないけど、どうしたんだよ」

「あ、あれ?そういえば」

パタパタと自分の体を検査する伊作に、は笑う。

「ね、言ったでしょう?悪運強いって」

してやったりと笑う本来の年齢の顔で笑うをみて、
真っ赤な顔をした伊作をみて、思った。
お前らなら、幸せになれるんじゃないか?と。

俺は、俺と蒼の幸せを一番に望む。
二番目は友人の幸せだ。
丁度良いじゃないか。一番も二番も全部叶う。
このままじゃあ、蒼は泣いたままだし、俺は怒ったままだ。
それに、あまりにもが報われない。悲しすぎる。
蒼にあの話を聞かされて、竹谷とが付き合って、天女が落ちて、
別れてその後まですべて見てきた俺は、見ていることだけしか出来なかった。
を愛している蒼ですら、動くことが出来なかった。
俺の愛する人を救ってくれた命の恩人に何も出来ないで、歯痒い思いだけなんて
耐えれなくて、遠くで何度殺気を飛ばしたか分からない。
でも、これはいけるんではないか?
丁度彼の不運も彼女といれば直るようだし。


蒼がようやく心の底から笑ってくれるかもしれないと思って、
俺は、笑った口元を隠した。













2010・1・11