忍術学園最高!!私天女って呼ばれているんだ。
天女じゃなくて普通の女の子だけど、悪い気はしないし、
みんな私に優しいから、別にいいや。
もう、毎日幸せすぎて、怖い。
あの世界じゃありえないくらいに、みんな私に構って私を好きでいてくれる。
これって、もしかしての逆ハー?
一週間経って、そうに違いないって判断した私は、すぐさま最悪をイメージした。
私の世界「平成」には落第忍者乱太郎ってマンガがあって、
ここに落ちてすぐ、トリップとか分かったんだけど。
だって、私はまってたんだもん。二次も好きだけど、特に夢にね。
だから、最悪っていうのは、私に、死亡エンドがあるってこと。
このごろ落第に傍観主っていうのがはやってて、傍観主ってのは、
逆ハーが来て、変わってしまった人を見ている子って感じかな。
えーと、だから、私、死にたくないんだ。まだ、帰りたくもないんだ。
だって、人生エンジョイ。もっと楽しんでいたい。
一日考えた結果。そうだ!指定すればいいってことに気づいた。
ナイス私。
つまり、大勢に好かれて殺されちゃうんだから、5・6人程度だったら、
現実でもあえりえることだから、大丈夫じゃない?
これだったら、私も楽しいし殺されない。オールオッケイ!!
それから三日寝ずに考えて、5年生に絞った。ほんっとうに決死の選択だったわ。
私は、雷蔵。三郎。兵助。ハチ。勘ちゃん。に囲まれて幸せな暮らしをしてた。
それなのに。
どうしてよ。
殺されない程度に、ちゃんとしてるじゃない。
何が悪いの?
私、本当にイヤイヤながらも他の人はちゃんと返したんだよ。
なのに、なんで叩かれるの?なんで叩かれなくちゃいけないの?
私が好かれたことが悪いなら、好かれなかった方は悪くないの?
ねぇ、ねぇ。愛されたことの何が悪いのよ?教えてよ。負け犬。
****************
「蒼」
ずんずんと5年生に囲まれたあの子のところに行くまでに、
の声が聞こえた気がした。
実際彼女がいれば、止めろと言われるだろうけれど止まれなかった。
駄目。許せない。許せないの。この子絶対許さない。
馬鹿にしたわ。この子私達を馬鹿にして、意味がないって言ったのよ。
それにあなたをこんな目にした原因だし、堪忍袋の尾が切れたの。
だから、いくらあなたの願いでも聞いてやれない。
パァンと叩いたから良い音がした。きょとんしとした顔。
これくらいで終わると思うなよ。と、後ろで驚いている5年を無視して、
そのまま足払いして馬乗りになり、叩こうとした。
恐怖におのめく顔。その顔に同情もなにもなくて、ただイイ気味だと思った。
振り上げた腕は、5年に押さえつけられる。
人数も性別も力もかなわない私は、くのたまらしさを欠いていた。
だけど、私はその前に人だ。感情で動いていけないことがあるだろうか?
罵倒と、彼女を姫様のように守る5年に苛立ち、
お前らは、その女の顔が見えていないのかと、喚きたくなった。
なんて、醜い。優越感しかない顔。
こんなこんな女に。こんな女に。は。
ぎりっと唇を噛み締め、怒りで震える拳。
彼女を守るように前に出た、次に許せない竹谷を睨んだ。
一瞬にして罵倒の声が止まり、息を呑む声が聞こえた。
その一瞬で、根気という力を振り絞り、真っ直ぐ竹谷の下へ走ったが、
鉢屋に止められ、竹谷の足元にはいつくばった。
ぐっと、息が出来ない。けど、こんな苦しみ。全然。
に比べれば、全然なのよ。
動くはずないと思っているだろう手で竹谷の足を掴み、
彼と彼の守っているあの女を睨みつけ。
「あんたらなんて苦しんで死んでいけばいい」
醜い。と鉢屋から聞こえた。
そうね、知ってるわ。
だけど後ろで口元隠して笑っている女は、どうなの?醜くないの。
私が醜いことは認めるわ。
目が血走って、必死にあがいてあがいている姿、醜いでしょう。
目見開いて、よく見ときなさい。
これが今を本当に生きているものの姿よ。
あの世界を知らない。お前らには分かるまい。
2010・1・10