最後の日。久しぶりに、建物から出た。
真っ青な快晴。蒼い空。
あの時起きた奇跡は二度目はないだろうと笑った。
今度こそ、死ねる。
また、昔のように人を憎まず、今なら死ねることに安堵して、
私は薬を飲み、社の中へ入った。
みんなの冷たい視線なんてどうでもいい。
死ぬよりも恐ろしいことは憎むことなのだから。
だけど。
前と同じ真っ暗な社の中、一人。
まだ、眠気はきていない。
間に合わなかったかーと苦笑した。
もう少し早い効き目のだったら良かったのに。
そうすれば。


告白します。
私、は、「天女」さまが大嫌いです。
私、本当はすっごく嫉妬してました。
あんな女死んでしまえば良い。
憎んでやるレベルです。
ハチのことだって、馬鹿男と罵りたいです。
でも、人柱だって言って、嫌われたくなかったんです。
拒否されたくなかったんです。蒼が羨ましかったんです。
お前が言ったことなしにしたら死ぬんだぜ。な重い人、誰だっていやでしょう?
束縛できると思いながら、もう二度と笑ってくれなくなるのが嫌でした。
だから、のばーし、のばしに。
だからって、あんなぱっとでの女に、しかも腹黒に負けるなんて!!
お前、女の見る目ないね。って叩いてやりたかったんです。
目覚ませ、呪われてるよ。って叩いてやりたかったんです。
死にたいなんて思ってません。口にしただけで、むしろ生きたいです。
馬鹿なことしたって後悔ばかり。
次は、もっと長く生きて好きな人と結婚して子供が生まれて
なんて幸せを思っていたから、最初から人柱なんて、
リセットできないかなんて思って、蒼と交換しました。
自分のことしか考えなかった最悪な女です。
あーもう。
最後の最後で。

告白します。ええ、全部。
私は釈迦でもなんでもないので、人のことを思いやるよりも
自分のことを思いやりたいのです。
だけど、普通の人よりも嫉妬しいな女なので、
また同じことを繰り返してしまいそうなんです。
今度こそ幸せになりたかったけど、無理のようです。
すみません。
泣いて?なんて言わないで欲しいんです。
泣いても無意味。泣いてなにになるというのですか。
後悔なんてしたところで変わらないのです。私という人間は。
いいえ、本当は人で見えない場所で泣いていました。
一杯泣いたからあのときには涙のツボが干からびてしまいました。
ごめんなさい。

きゅっと胸元を押さえた。
私を守っていたクナイを握り締めようとしたけど、胸元にはなくて。
そういえば、伊作先輩にあげていたことを忘れていた。
目がとろーんとする。ようやく、薬が効いてきた頃かな。
ああ、あの人はいい人だった。とても優しい人だった。
私にはもったいなかったから、これで、いいんだよね。

また人を憎むのか嫌だなと思いながら、目を瞑ろうとして、光が見えた。


!」











2010・1・14