おかしいな。ことの様子をみていた4年は思った。
4年生はとても自分が好きなので、とても小さい箱をしっかり掴んでいるものが多かったので、
違和感にはすぐに気づいた。
まず、「天女」という存在だった。「天女」だと叫んだのは、先輩だった。
確かこのごろそういう系統の本ばっかり読んでいたので、宙に浮いている女を見て、
「天女」と叫んでしまっても相違ない人だった。つまり単純な人だった。
問題は、その「天女」が「天女」となれたわけだ。
怪しさ満点な女はなぜか学園に入ることを許されたそれだけでも、学園長がぼけたのか
と思ったが、あの6年生が5年生が陥落していくのだ。
その様はとても滑稽で哀れで、なお箱庭を愛して止まない彼らは気分が悪くなった。
おかしい。彼はつい最近まで愛先輩、愛先輩と言って一生懸命ではなかっただろうか?
おかしい。彼はつい最近まで、と言って笑いあっていなかっただろうか?
なぜ彼らはあんな怪しい女にうつつを抜かしているのだろうか?
そして、一番の不可解は、6年生で善法寺 伊作先輩に近づくことしない女。
ああ。合点。
そういえば、「天女」は愛先輩にも近づかなかった。
ああ。合点。
「どういうこと?」と首をかしげるタカ丸さんのために。
「天女に化けていたんですよ。薬と幻覚でだから、
学園で一番薬を知っている伊作先輩を避けて、
学園で一番幻覚に詳しい愛先輩を避けていたわけです」
「なんで、学園にきたの?」
先輩が長期任務でいなくなって、愛先輩が消えて分かったことは?
「ほーんと、偶然。偶然にしては出来すぎた偶然」
「そうだな。まるで仕組まれたようだ」
「先輩と愛先輩の任務が重なり、その任務を出した所が、元を辿れば同じとは?」
「決め手は、愛先輩が期間を過ぎても帰ってこない」
僕らは、それを知らない先輩に教えるだけ。
そうすれば箱庭は守れるでしょう?ほら、見て。
今偽者が普通の女が、間者が全てを剥がされているよ?
2009.12.20