ある日、「天女」と呼ばれる人は空から現れた。
彼女は普通からみれば、可愛く美しい人だったが、
如何せん6年い組には完璧な容姿をもつ早乙女 愛がいるのだ。
彼女に比べれば、彼女は普通の人であった。
しかし、どこか放っておけない人でもあった。
早乙女 愛は完璧すぎてどこか近寄りがたいところもあるし、
なにより早乙女 愛の番犬があのだ。
は、女としていや人として大きな欠陥があるやつで、
見た目は小さな背格好で、
珍しい薄蒼髪の長い綺麗な髪を持ち、大きな赤茶色の瞳を持つ
美少女だが、欠点を言えばきりがない。
まず一日の食事量が大の男の2・3人はこえている。
どこにそれが入るのか徹底的に解剖したいと思うほどだ。
あと口が悪いし、女にしては色に恋に無関心すぎると言うか無興味の域なわりには、
エロトークは激しい。そして何より、奴の力は化け物並だ。
あの華奢な体の中には、暴君と呼ばれる小平太と渡り合える体術に、
文次郎よりも稼動する体力。
彼女自身のもっとも得意とする暗器の量はどう考えても彼女の体に隠しきれない。
正確な武器使い。的確な情報判断能力。敵味方の区分け。
化け物と畏怖してもおかしくない彼女だが、一部は畏怖しているけれども。
好かれてもいる。現に私の作法委員の奴はみな彼女に懐いている。
なぜか?それは、彼女に悪意など存在しないからだ。
彼女は、食べたい。寝たい。などの欲望のままに生きていて、大雑把で、
よく言えばさっぱりしている。
昼寝はそこらへんでしてしまうほど、気の抜けた性格もしていて、
敵意以外の接近には極めて反応が遅れるという変な癖もある。
彼女の世界の構成は、早乙女 愛と気に入ると気に入らないの三択なのだ。

そして、私・立花 仙蔵は彼女にとって気に入るの
カテゴリーに入れられている存在だと思っている。
なぜ、今こんなことを考えているか。

それは突然のことだった。
伊作を抜いた六年が彼女梢さんを囲んで楽しく談笑しているときだった。

バァンと襖が吹き飛んで、ありえない殺気。
殺気のもとには、
長期任務から帰ってきたばかりなのだろう。久しぶりにみたがいた。
最後にちゃんと話したのは、早乙女 愛が伊作が好きだという
なんとも爆発宣言を聞いた後で、かれこれ三ヶ月経っているだろう。
しかし、はこういう外見をしていただろうか。目が真っ赤だ。
どうしたんだ。と聞く前に、つい体が、クナイを出して梢さんを守っていた。
なんでだ?と頭が考える前に守れと誰が叫んでいる。

馬鹿だ。こんな敵わないもの誰がするか。
普段の私だったらそうであるのに、
ああ、目の前の長次が吹き飛んで、小平太が腹を抱えてうずくまって、
留三郎がクナイではりつけにされて、文次郎が今蹴られて横の壁に激突した。

私は、スパンといい音がした。姿は見えない、ただ横に倒れていて
が、梢さんの胸元を掴み上げて、
人を小馬鹿にしたり、満足そうに笑ったり、眠そうにしたり、さっぱりした顔とか、
色々知っているが、私との6年間に一つもいない無表情の激怒で、
軽々と、梢さんを宙に浮かせた。
パタパタと足を動かして苦しそうだ。

「おい、お前、愛の場所を知っているな?吐け」

「な、なにを」

ダンと強い音と土煙。彼女は宙から地面に叩きつけられた。

「吐け。吐かねば、今からお前の体一部が消える」

シュッっと音が聞こえて、絶叫。

「・・・ぐ、ィィイ」

誰かの止める悲痛な叫び声がする。

「さぁ、吐け」

「・・・・あぁああああ・・・・・・ああああああああああああああああああ」

ぐりっと音がしたけれど、それの絶叫が最初だとして、次の絶叫が何か分からない位置にいる
私は幸せものだろう。殺気が増えて、息がしにくい。

「・・・・あ・・・・ノボタケ城」

その言葉が聞こえると、一気に殺気が拡散した。
そして、その部屋に着いていただろう先生達が動くよりも先には消えた。











2009・12・20